
次週行われるメジャー大会「全米オープン」(ペンシルバニア州・オークモントCC)出場権をかけ、各地で最終予選会が行われた2日。1日36ホールの戦いは「ゴルフで最も長い日」とも言われているが、マックス・ホーマ(米国)にとっては誰よりも長いラウンドだったかもしれない。
米ツアー通算6勝のホーマは2019年以降、初めてとなるメジャー出場権を逃すことを回避するため、オハイオ州コロンバスの会場で最終予選会へ出場した。しかしPGAツアー選手で、ただ一人キャディを帯同せず。なんと自らバッグを担いでセルフでプレーし、周囲を驚かせた。
前週はシグネチャーイベント(格上げ大会)の「メモリアル・トーナメント」(1日に終了)に出場し、51位タイという結果に終わっていた。ホーマはここ2カ月ほど、ビル・ハーク氏というキャディとタッグを組んでいたのだが、「仕事を失ったよ」というハーク氏の言葉から察するに、“別れ”はホーマから切り出したようだ。
実はホーマは、4月に10年近くバッグを担いできたジョー・グレイナー氏とコンビを解消したばかり。理由は明らかではないが、グレイナーはコリン・モリカワ(米国)のバッグを担ぐためにホーマのもとを去ったと見られ、実際に現在はモリカワのパートナーになっている。
そのモリカワの元キャディを務めていたJJ・ジャコバック氏は、現在マイケル・トルビョンセン(米国)のフルタイムキャディとなった。そして、トルビョンセンの元キャディ、ランス・ベネットは今週の「RBCカナディアン・オープン」でホーマと組むことになったと報じられており、なんとも複雑な関係になっている。
気ままなお一人様プレーをしたホーマは、36ホール目に3パットのボギーを叩きトータル5アンダーでホールアウト。5人によるプレーオフに進むことになり、最終的にはキャメロン・ヤング(米国)に敗れた。
ラウンド後、メディアに囲まれたホーマは、「キャディのことよりも自分のプレーについて話したい」と、セルフプレーの理由は語らなかった。ただ「誰かが隣にいるよりも、いいプレーができるようだ。一人で歩いているほうが、誰かとバトルをするより平和だ」と満足気だった。
とはいえ「36ホールを担いだのはひさしぶりで、本当に疲れた」と本音も。「全米オープンに出場できないのは心が折れそう…。だけど大丈夫だ」と気丈に振る舞った。
不振が続いているホーマは今季ここまで13試合に出場し、最高位は「マスターズ」の12位。5試合連続予選落ちなどもあり、ポイントランキングは110位に低迷している。ちなみに、今週出場するRBCカナディアン・オープンで好成績を残し、現在90位の世界ランキングが60位以内に浮上すれば、全米オープン出場権を得ることができる。さて…、いったいどうなる?(文・武川玲子=米国在住)