
<全米女子オープン 最終日◇1日◇エリン・ヒルズGC(ウィスコンシン州)◇6829ヤード・パー72>
運命の分かれ道は、15番パー4だったかもしれない。全米制覇を狙い、首位と2打差の3位からスタートした渋野日向子。しかし、このホールで首位の背中は一気に遠のいてしまった。
前半は4番パー4でバーディを奪い、後半は10番でボギー。首位と3打差の2位で迎えた14番パー5は、507ヤードと比較的短めのチャンスホールだった。194ヤードのセカンドショットは、グリーン奥の傾斜を使い、およそ3メートルのイーグルチャンスを演出。しかし、パットはカップの左をかすめてバーディ。「イーグルを取るべきだった」と悔しさをにじませた。
続く15番パー4は339ヤードと距離は長くないが、グリーン右には急傾斜があり、さらに最終日のピン位置は右端。そこに落とせばボギーは確実という難セッティングだった。セカンドショットを「左足上がりで、右に打ち出してしまった」と話すように、ボールは傾斜を転がり落ちた。3打目のアプローチを寄せられず、そこから3パットで痛恨のダブルボギー。一気に首位との差が5打に広がった。
「最初から最後まで、去年よりも勝ちたいと思いながらラウンドしていました。だから、出ちゃいましたね。ちょっと悔しい3打目ではありました」。今シーズンはまだトップ10入りがなく、苦しい状況で巡ってきたメジャー制覇のチャンス。気持ちが前のめりになっていたのも無理はなかった。
結局、トータル3アンダー・7位タイで、2019年「AIG女子オープン」(全英)以来のメジャー制覇はならなかった。ラウンド後のインタビューでは悔しさを抑えきれず、大粒の涙を流した。
「この4日間、ショットがボロボロだった。グリーンが大きかったから乗ってたし、来週(ショップライトLPGAクラシック)だったら乗らない。本当に、直さないといけないところがたくさんですけど、だいぶアプローチとパターが頑張ってくれていたと思う。そうなるとは予想しながら練習ラウンドをしていたので…。なんですかねえ。もったいないです」
ショットに不安を抱えながら迎えたメジャー2戦目。難コースで伸ばし合いの展開にはならず、グリーン周りで耐えながら、チャンスが来たら決める。そんな戦いだった。
次戦は「ショップライトLPGAクラシック」(6月6日~8日)。今大会よりもグリーンが小さく、ショットの精度がより求められるコースだ。「今週のようなゴルフでは、来週は予選も通れないくらいボロボロになる。修正するところはたくさんあるし、全然違うコース。ダボやボギーがでちゃうのがイヤだから、気持ちを切り替えつつも、いい流れに乗っていけるように」。浮き彫りになったショットの課題。次戦に向けて立て直しに全力を注ぐ。(文・齊藤啓介)