
畑岡奈紗、古江彩佳、渋野日向子らに加え、2025年は過去最多となる日本勢13人が出場する米国女子ツアー。その動向にも注目だが、試合以外や海外勢のこぼれ話まで伝えるのはなかなか難しい部分も…。そこでツアーを長年取材しているカメラマン・南しずか氏が気になるネタをピックアップ。これを見れば“米女子ツアー通”になれるかも!?
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米国女子ツアー「リビエラマヤオープン」で、岩井千怜が米ツアー初優勝を達成した。ウイニングパットを決めた瞬間、双子の姉・明愛、吉田優利、チーム関係者などが千怜に駆け寄り、盛大にシャンパンをかけて祝福した。そんなお祝いムードの中、最後に駆け寄ったのはシュ・ウェイリン(台湾)だった。
現在30歳のシュは、2015年から米ツアーに参戦。米ツアー1勝で、「東京五輪」「パリ五輪」では台湾代表として出場経験がある。そんなベテラン選手と千怜に、どんな接点があるのだろうか。
数日後、シュが語ってくれた。きっかけは22年「TOTOジャパンクラシック」。この日米共催大会の3日目と最終日を同組でラウンドした。
「試合前に選手仲間から『岩井姉妹はいい選手だよ』って教えてもらって。当時、千怜は英語を全く話せなかったから、あまり会話はできなかったけど、すごく感じが良い子だなっていうのは伝わってきた。試合後には『インスタをフォローしていい?』って聞かれて、『もちろんいいよ!』って答えた。私もすぐにフォローバックしたよ」
昨年は、岩井姉妹が海外メジャーに出場していたことで、会う回数が増えた。「私は勝手にふたりを妹みたいに感じちゃって。見かける度に声をかけて、冗談を言ったりしてました」。もちろん、ゴルフの実力も認めていて、「すごくいい選手だから、優勝に驚きはないですね」と話した。
そんな“妹”の米ツアー初優勝を、あえて“ペットボトルの水”で祝福した。その理由は明確。濡れたくなかったからだ。実は、翌週の「全米女子オープン」に出場する選手のために、会場近くのカンクン空港からチャーター機が用意されていた。出発は試合終了直後で時間がなく、シュもそのひとりだった。
「シャンパンの匂いがついたウエアで搭乗するのを避けたかったし、まずは日本人関係者らでお祝いをしたらいいと思ったので」。シャンパンシャワーが終わったころを見計らって、“ウォーターシャワー”を浴びせたというわけだ。
「もし私が優勝したら、岩井姉妹にシャンパンをかけてもらいたいですね。あ、水でもいいですよ」。シュは冗談を言って笑った。(取材・文/南しずか)