
<全米女子オープン 事前情報◇26日◇エリン・ヒルズGC(ウィスコンシン州)◇6829ヤード・パー72>
日本勢史上初となる2度目のメジャー制覇という偉業を成し遂げてから一年。大会連覇の挑戦権を手に、笹生優花が全米の舞台に戻ってきた。
日本人の父とフィリピン人の母を持つ笹生は、2021年大会はフィリピン国籍で、昨年は日本国籍で優勝。両親それぞれに勝利をささげる“孝行娘”としても話題を呼んだ。この1年間は「トロフィーツアーをしていました」と語るように、獲得したトロフィーを各地で披露する特別な時間を過ごした。
まず日本で家族や関係者にお披露目。その後、フィリピンでも披露し、拠点とする米テキサス州ダラスの自宅へと持ち帰った。「トロフィーを車の助手席に座らせました」と、車でどこへ行くにもトロフィーと一緒だったとうれしそうに話す。もちろん、シートベルトの着用も忘れない。そんな“トロフィーツアー”をたっぷりと満喫し、ついに返還する時が来た。
連覇、そして大会3勝目へ…と意気込みたいところだが、今シーズンはまだトップ10入りがなく、直近3試合ではすべて予選落ちを喫している。思うような結果が出せず、「フラストレーションはありました」と明かすも、「ゴルフは完璧なスポーツではないことはよく理解している。完璧にはなれない。努力を重ねる過程こそが、私にとって一番楽しい部分だと思う」と、持ち前のポジティブさは健在だ。
「とにかくコースのことをできるだけ知ろうとしている。特に全米女子オープンはかなり難しいので」と語るように、先週の土曜日から現地入り。すでに3日間ラウンドを重ね、コースへの理解を深めている。
「もう一度優勝できたらうれしいけれど、他のどの大会でも同じくらいうれしい。でも、もう一度優勝できたら、もっと特別な気持ちになりますね。勝つことがモチベーションになります」。メジャー2勝を挙げた今でも、勝利に飢えている。さらなる一勝を活力に、笹生の旅路は続いていく。(文・齋藤啓介)