バランス『C7』、0.75㌅先詰め、ロフト8.2度… 300ヤード超・穴井詩のエース1W誕生秘話がすごかった

国内女子ツアー「ヤマハレディースオープンin葛城」で全美貞とのプレーオフを制して2年ぶり通算6勝目を挙げた穴井詩。ツアー屈指の飛ばし屋は、37歳になってもその飛距離に衰えはない。今季は開幕からエースドライバー探しに迷っていたが、「ばっちりハマった1本が出来上がった」というドライバーに注目してみた。
クラブ契約フリーの穴井は、開幕からキャロウェイの最新モデル『エリート』シリーズを使用していたが、「ヤマハ」ではテーラーメイドの最新モデル『Qi35 LS』を入れていた。「振っても曲がらないし、コントロールもできる。散らばりがすごく減った。鵜野さんスペシャルです。考えに考えてくれました」と同社のプロ担当・鵜野晃行氏を中心となって作った特別な1本が2年ぶりVを支えた。

穴井はドライバーのヘッドバランスは『C6~C7』と女子では少ない軽めを好んでいる。「やっぱりフッカーなので、ヘッドが利きすぎるとヘッドが“みやん”って動いて、左に曲がりすぎちゃんです」。ヘッドの重さではなく、自分で速く振って飛ばせる能力がある飛ばし屋ならではの発想だ。

鵜野氏が行ったのはまずヘッドの選定だ。「うちの『Qi35 LS』は、一番軽いウエイトを入れてやっとC7が作れるぐらいです」。もともとヘッド重量のあるモデルのため、ツアーバンに積まれているヘッドの中から、個体差で生じる重量を確認して最も軽量で、ロフトの立ったヘッドを探した。そして弾道調整機能として可動式ウエイトが3か所あるが、つかまりをよくするためヒール側は4g、残りの2か所は3gと最も軽い重量を入れて、リアルロフト8.2度(表示は9度)の軽量のヘッドを作った。

シャフトの長さは45.75インチで藤倉コンポジットの『24ベンタスブルー 5S』に決まったが、こちらも味付けされている。シャフトの先端を切って硬さを出す、いわゆるチップカットを0.75インチ(約1.65センチ)行っている。

計測器を持ち込んで「シャフトは7種類ぐらいテストした」と話す鵜野氏。ハードヒッター向けの『ベンタスブラック』も含めて、フレックスや重量違いを実打。『24ベンタスブルー』の5Xや5Sの0.5インチチップカットなどもテストした。0.75インチカットは練習では少し硬く感じたが、試合になるとさらに振れるようになるため、ちょうどいい硬さになる計算もばっちりハマった。

「今までは先が少し動く感じがありましたが、0.75インチカットしたことで、しっかり振っていけるようになりました」と鵜野スペシャルを手に、さらに振れるようになったという。

ちなみに、テストでは驚異的な数字をたたき出した。ヘッドスピード「47.9ⅿ/s」、ボール初速「70.9ⅿ/s」、キャリー「276ヤード」、トータル距離「303ヤード」。男子プロ並みの数値である。穴井の飛距離はますます伸びそうだ。

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女子プロの使用ドライバーを調査。関連記事【女子プロが使用するドライバーはLSヘッドが多い!? 一発の飛びと平均飛距離、あなたが欲しいのはどっち?】を読めば、その秘密がわかります。

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