
山梨県の南アルプス市に「コストコ 南アルプス倉庫店」がオープンしました。ここから甲府方面に通じる「新山梨環状道路」の計画をひもとくと、コストコの立地のスゴさが見えてきます。
オープン初日は10万人!? “新コストコ”の立地とは
山梨県の南アルプス市に2025年4月11日(金)、会員制の大型スーパー「コストコ 南アルプス倉庫店」がオープンしました。甲信初出店の大型店舗で、初日は市の人口をはるかに上回る10万人が訪れるとも報じられており、渋滞が懸念されています。
同店は、2021年に静岡県まで全通した中部横断道の南アルプスICを出て“目の前”に立地。同ICに接続して甲府方面へ通じる道路が、いまも延伸工事が進む「新山梨環状道路」です。
新たな交通結節点となることを見越しての出店ですが、新山梨環状道路はこの先、どこまでつながるのでしょうか。
「次は国道までつなげます」新山梨環状道路
新山梨環状道路は南アルプスICから東へ、落合西ICまで10.4kmが開通しています。一部、自動車専用区間を含む高規格の無料道路です。
南アルプスICから自動車専用区間に入ると、右側に建設中の高架橋が見えます。これはリニア中央新幹線の橋で、新山梨環状道路の自動車専用区間が終わり、平面区間の真横では、リニアの「山梨県駅」を建設中です。
さらに進むと再び自動車専用区間となり、中央道の下をくぐった先の落合西ICが現在の終点。その先も延伸工事が進んでおり、すでに濁川と平等川を一気に渡る橋桁も架かっています。
新山梨環状道路は国道140号のバイパスを形成しますが、現在の終点である落合西ICは県道に接続しています。甲府市街へ通じる道は狭く、国道140号に出るのも笛吹川を渡る必要があり、ちょっと“奥まった”場所にある印象は否めません。
山梨県の道路整備課によると、次は落合西ICから濁川・平等川を渡った東油川IC(仮称)までの区間が開通する予定とのこと。これにより国道140号と接続するため、石和方面からのアクセス性がかなりよくなると思われます。
100km先のアウトレットまでつながる!?
新山梨環状道路は中部横断道と合わせて、文字通り甲府市近郊の環状線を形成する計画ですが、そのうち南アルプスICから始まる南部区間、続く東部区間、北部区間の一部は、「関東方面と直結する高規格道路」と一体となる区間でもあります。
新山梨環状道路はさらに北へ延伸し、桜井JCTで埼玉県へ通じている国道140号のバイパス「西関東連絡道路」と接続する計画です。
国道140号で埼玉県境の「雁坂トンネル有料道路」を抜けた先では、秩父市内の難所を貫く「大滝トンネル」(建設中)、さらに開通済みの「皆野秩父バイパス」「皆野寄居バイパス」などが、西関東連絡道路の一部として整備されています。秩父の主要道であり、関越道の花園IC(深谷市)に通じる国道140号の高規格版といえます。
その花園ICの近くには、2022年に「ふかや花園プレミアム・アウトレット」が開業しています。山梨のコストコと埼玉のアウトレット、約100km離れた2大商業施設が秩父山地を貫いて直結するという壮大な計画です。
西関東連絡道路は北関東道とつながれば、“圏央道のさらに外側の環状道路”ともなり、さらに南アルプスICで中部横断道とつながることで、静岡方面にも通じます。将来的に、山梨のみならず関東・長野・静岡の交通が一挙に集まるポイント、それがコストコ南アルプス倉庫店の立地です。