
海外旅行先でのタクシーで、ぼったくられた、乗車拒否された――そうしたケースは少なくありません。足元を見るドライバーに対して、どう「自衛」すればよいのでしょうか。自己対策だけでなく、第三者をうまく活用する方法もあります。
海外のタクシー利用、どんなリスクが?
海外旅行で現地の移動の足としてタクシーを使うことは、わりとよくあるケースだと思います。かつては海外でタクシーを利用する際に立ちはだかっていた「言葉の問題で行き先をうまく伝えられない」「ちゃんと目的地に向かっているかどうかわからない」といった課題も、スマートフォンの地図アプリにより解決し、現在ではより気軽に利用できるようになっています。
ただ、料金を巡るトラブルは、いまだ避けられない悩みの種です。
日本では「タクシーは原則として乗車拒否できず、料金はメーターどおりに支払えばいい」というのが常識ですが、海外ではメーター付きのタクシーであっても、行き先によっては乗車拒否したり、メーターを使わずに料金交渉することを可としているところも少なくありません。
また利用者が現地在住者であればメーターで行くような目的地でも、外国人旅行者とみると高値をふっかける、悪質なドライバーも存在します。旅先でのこうしたトラブルは、本当に後味の悪いものです。
ではどういった場合に、そうした状況になりやすいのでしょうか。その対応策も含め、考察してみましょう。
ぼったくるドライバーがいる“場所”
まずは「メーターを使わず、明らかに高いと思われる“言い値”を提示される」パターンです。
ホテルから有名な観光地や人気のレストラン、店舗に向かう場合など、タクシーのドライバーから「相場を知らない観光客だから、ぼったくっても大丈夫」と思われ、そうしたトラブルに遭遇しがちです。
特にホテル前の路上で客待ちしているタクシーにはこの傾向がより強く見受けられ、ときにはそうした商売を基本としているドライバーもいます。
対策としては、ホテル前に止まっているタクシーは使わず、少し歩いてから流しのタクシーを利用しましょう。メーターを使ってくれる可能性は高まるはずです。
なお、ホテル前で待ち受けるドライバーは、観光客が好むスポットについて熟知しています。しかし滞在国によっては、ふだん地元客を相手にしているドライバーが、観光客が足を運ぶレストランや店舗に疎かったり、そもそも地方から出てきたばかりで地理に詳しくないといった例もあります。
流しのタクシーを利用する場合、前もってスマホの地図アプリで目的地までのルートを表示させておけば、移動での安心度は高まります。
どんなときに「乗車拒否」される?
つぎに「目的地を伝えると、乗車拒否される」パターンです。
日本では前述のように乗車拒否は認められていませんが、国によっては「その目的地までの道が渋滞しているから」「その目的地から戻ってくる道路が渋滞しているから」といった理由で乗車拒否にあうことが頻繁にあります。またときには「メーター料金で長距離を走ると、かえって損をする(復路で客を拾える可能性がないので、そのぶんムダな走行になる)」ため、乗車拒否する場合もあります。
目的地がそれほど遠くない場所なのに、複数のタクシーから乗車拒否をされる場合は、ドライバーに「この時間帯にそこに行くのは割に合わない」という共通認識がある可能性が高いと考えられます。
その場合は、地下鉄などの公共交通機関を使うことを選択肢として考えるか、あえてドライバーと料金を交渉し、両者が納得する金額で折り合うしかないでしょう。
ぼったくりでも飲まざるを得ない「空港移動」どう対処?
最後に「大きな荷物を持ち、空港などに向かう旅行者であることが明白である」パターンです。
このパターンでは、ドライバーは「利用者が時間を気にしている」と判断し、道路が空いている早朝や深夜などであっても、足元を見て高い言い値を示すことがあります。もし実際に飛行機などの出発まで時間に余裕がない場合は、ドライバーと利用客との力関係から、そうした高い料金を受け入れざるを得ません。
対策としては「空港などに向かうときは、できるだけ時間に余裕を持って動く」ことがもっとも有効になるでしょう。20分でも30分でも余裕があれば、メーター料金で行ってくれるタクシーが見つかる可能性は高くなります。
“袖の下”を使う方法も
またもうひとつ、ホテルのドア係にチップを渡し「メーターで行ってくれるタクシーを探してもらう」という方法もあります。
この場合、チップ代が追加の出費となりますが、ドライバーの言い値ではそれ以上に高くなること、またメーター料金で行ってくれるタクシーを自分で探す手間を考えたら、十分にリーズナブルと言えるのではないでしょうか。
もちろん、こうしたタクシーの「交渉制料金」「乗車拒否」は、一部では地元客にも共通する悩みとなっていて、そうした地域では、日本では大々的に認可されていないライドシェアが人気を集めています。
ただ海外で使うライドシェアは、スマホアプリでのユーザー認証やクレジットカードの登録など、また別の課題があり、日本人旅行者が現地ですぐに使えるというわけではないのが、残念なところです。
なお中南米など、そもそも流しのタクシーを利用することそのものが安全上のリスクとなるエリアもあります。ご注意ください。