「欧州に早く来て得しかない」 19歳FW後藤啓介、日本代表入りへ闘志「負けないようにやれば自然と手は届く」

 24日に行われたU-20アメリカ代表との試合でU-20日本代表は1-1の引き分けに終わったが、FW後藤啓介(アンデルレヒト)にとってはチームの結果内容以上に厳しい試合となった。前半終了間際に着地で足を取られて負傷交代。内容面でも立ち上がりからアメリカの猛攻を受けて防戦一方の日本は守備で耐え忍び、クリアするのが精一杯で後藤は終始孤立状態だった。守備でもチームとしてハイプレスをかけることができず、後藤にとってはイライラの募る展開が続いた。攻守で主導権を握ることができなかったため、前半30分あたりで後藤がDF陣にもっとボール保持するよう強い口調で要求する場面もあった。

 逆に言えば前線にいながら後方でのビルドアップや前線でのプレスのかけ方の方法論を知っているということで、それは試合後の後藤の話から確認できた。この試合単体での後藤はA代表入りが期待されるようなスケール感やタレント性、決定力を披露できなかったが、感情論ではなく戦術論でなかなか上手くいかなかったチームの課題と現象を振り返る後藤の戦術レベルの高さに触れることができた試合ではあった。

――前半から厳しい展開でした。
「ちょっとビビって蹴りすぎていたかなと」

――前半、後藤選手は(ピッチ内で)言っていましたね?ああいうボールを蹴られても収めるのは難しいですよね?
「収めてもやっぱり全員が(サイドに)張っているし、距離が遠い分収めてもサポートがいない場面の方が多かったかなと。FW目線で見ればGKの中村圭佑はもっと敵がギリギリまで来るのを待ってボランチを使って運べるというのがもっとできたんじゃないかなと。キーパーとかセンターバックがどう思うかわかんないですけど、俺目線で見たらもっと(相手のプレスを)引きつけて、トライアングルを作ってセンターバックが運んで。そしたら(相手の守備が)マンツーマンで来ている分、ボランチが斜めのパスが後半、小杉から(徳田)誉に何回か入っていたボールがもっと付けられたかなって思いますね」

――守備のところも後ろの相手アンカーが1人余ってるところにもうちょっとセンターバックもボランチも含めて前に出てきて欲しいみたいに言っていましたが?
「サイドはぶっちゃけ出されてもロングボールも浮き玉だし、その間にスライドができるので。もっと両サイドバックが閉めてセンターバックが(保田)堅心と大関の後ろに落ちているFWにもっと強くいければ、俺と龍があんなに(中を)閉めなくても前から(プレスを)かけられたし。もっと(プレスに)行くタイミングを言ってくれないと、見えない。見ながらやっていましたけど、見えないので。そうですね、もっと後ろから声かけとシャッフルを速くしてくれれば、もっと自分たちからアクションを起こす守備ができたのかなと思いますね」

――実際、日本が得点をとった形はボランチが縦関係になってそこで引っ掛けてのショートカウンターでした。ああいうはめ方をもうちょっとしたかったですよね?
「そうですね。最悪、龍之介がもう完全にアンカーをつかまえて、俺がサイドを限定しながらサイドにプレスに行くっていうのもあったし。センターバックの押し出しと、両サイド、サイドハーフもそうだしサイドバックも、もっと締めてくれれば、もっと前から行けたかなと思います」

ーーもうヨーロッパでプレイしている後藤選手にとっては、今日ぐらいのレベルの当たりとかインテンシティーは日常ですか?
「もっと強いし。その中でベルギーリーグの試合も何試合か出ているんですけど、まだまだ物足りないことしかないので。逆に今日みたいな相手に何もできなかったというのは、自分個人で見てもチームとしても守備からの得点でしか決めれてないし。崩して、ボールを持ってというのができてないので、フランス戦も。そこはチームとしても、個人としても課題だし、もっと個の能力っていうのを攻撃でも守備でも全員が身につけないな、というふうに思いました」

――後藤選手の目標や視座は高いと思います。おそらく、W杯出場を決めたA代表を見ていると思いますが、現時点でA代表入りの目標は?
「きっと俺だけじゃなくてみんな目指しているところだし、でもその中で誰がより強くそこへの想いとか、クラブでのプレーっていうのをもっと出せるかだと思うので。そこはまあ、ああやって小杉とか塩貝とかヨーロッパにいてくれるし結果もすぐ入るので見ながら負けず、負けないようにやれば自然と手に届くかなとは思っています」

――日本のファン、ジュビロ磐田のサポーターも、後藤選手の活躍を期待し、心配もしてくれていると思います。なかなか多くの情報が日本に届いていないと思いますが現状はどうですか?ヨーロッパに来て改めて良かったなと、その価値を感じていますか?
「早く来て損はないというか、早く来て得しかないというか。自分の歳でも別に若くないので。その若くないのが基準になっているというか。やっぱJリーグにいたら大卒(の年齢)まで若いと思われるし、それじゃあヨーロッパで中堅で、活躍してないといけない歳なので。早く来て、自分よりも若い人たちを見ているし。それでトップチームに出ている選手も見ているし。そういう刺激がたくさん転がっているのがヨーロッパかなと思います」

取材・文=小澤一郎

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