日英伊の次世代戦闘機に影響は?「中東の金満国家」韓国ステルス機にアクセス開始

韓国が開発中の最新ステルス戦闘機KF-21「ボラメ」に対して、サウジアラビアが興味を示しました。同国は、日英伊が開発中の次世代戦闘機プロジェクト「GCAP」にも関与する動きを見せています。影響はあるのでしょうか。

地対空ミサイルに続いて戦闘機も?

 サウジアラビアが韓国に対し、KF-21「ボラメ」ステルス戦闘機に関する情報アクセスを求めていることが明らかとなりました。これは、韓国にとって輸出市場を開拓する大きな機会となるだけでなく、サウジアラビアにとっても、自国の空軍戦力を強化する手段となり得るでしょう。

 2025年2月現在、サウジアラビアは第5世代戦闘機を保有していません。同国は、アメリカからF-15SAを導入し、欧州からはユーロファイター「タイフーン」を購入しているものの、近年の戦闘機開発の流れにおいて、第5世代戦闘機の導入は不可避となりつつあります。

 そのため、サウジアラビアは日英伊が共同で取り組む次世代戦闘機プロジェクト「GCAP(Global Combat Air Programme)」に対し、関心を示していると目されています。しかし、人権問題を抱えるサウジアラビアの参画には、日本が慎重な姿勢を示しており、実現するかは不透明な状況です。

 こうしたなか、サウジアラビアは他の選択肢として、韓国製のKF-21「ボラメ」に着目したとみられます。韓国は比較的柔軟な武器輸出政策を採用しており、多くの国へ兵器を販売する方針を取っています。実際、サウジアラビアには地対空ミサイルシステム「天弓II」の輸出が決定しており、その次の段階としてKF-21がサウジアラビアの選択肢の1つとして浮上するのは自然な流れといえるでしょう。

実績積み重ねる韓国製兵器

 KF-21は、韓国とインドネシアが共同開発する戦闘機で、その性能ゆえに「半端なステルス機」とも評されます。機体設計にはステルス性の要素が取り入れられているものの、F-22やF-35のような完全な第5世代戦闘機ではなく、特にウェポンベイを持たないことが大きな制約となっています。そのため、実際の世代区分としては「第4.75世代」程度を目指していると考えられます。

 しかし、サウジアラビアの現状を考えると、KF-21は決して悪い選択肢ではありません。アメリカはサウジアラビアへのF-35輸出には消極的であり、GCAPは日本の態度がネックとなっていることから、短期間で第5世代機を入手することが困難な状況です。そのためKF-21の導入によって戦力強化を図ることは合理的な判断といえるでしょう。

 韓国にとっても、KF-21の輸出は極めて重要な戦略目標です。韓国は兵器輸出を国策として推進しており、既にK2戦車やK9自走砲、T-50練習機およびFA-50軽戦闘機といった兵器の輸出で大きな成功を収めています。FA-50は戦闘機といってもT-50の派生型であるため、本格的な戦闘機となるKF-21が輸出に成功したなら、それは韓国の航空産業にとって大きなターニングポイントになるのは間違いありません。サウジアラビアが採用すれば大きな実績として、韓国は戦闘機市場での競争力を高めることができます。

 現時点では、サウジアラビアがKF-21の購入にどの程度本気であるかは不明です。しかし、KF-21の情報アクセスを求めたという事実は、少なくとも同国が本機に対して一定の関心を持っていることを示しています。

 今後の焦点は、韓国がどの程度の情報をサウジアラビアに提供するか、そしてKF-21の輸出が実現するかにあります。韓国にとってKF-21の成否を左右する大きな商機となるため、交渉の行方が注目されます。

 ひょっとしたら、日本が大きく関わっているGCAPの開発推移や生産数の増減にも影響が出るかもしれません。

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