
ラーメンの話題に乗れない人間が行く、吉祥寺のラーメン屋の件
ラーメンの話が苦手だ。
どうしてラーメンの話をするときの男子は、青年からおっさんまであんなに饒舌なんだろうか?
『やっぱラーメンは“家系”だよね』とか『動物系と魚介系のWスープがいいよ』とか『濃厚豚骨醤油スープが基本でしょ』とかさー。
(君ら、家で出汁とか取ったことあんの? どーなの?)と、言いたい気持ちをグッと堪えるのが大変。
若い娘さんは意中の男子にラーメンの話を振るといいよ。
1時間くらい語り合えると思う……。
でも、交際に発展するかどうかは、自己責任でお願いします。
それくらいラーメンの話に乗れないおっさん女子の私である。
しかしそんな私が、このラーメン屋に入ってみたい……、と思った店がある。
吉祥寺通り沿いにあった『らーめん バリ男』である(2016年10月末に閉店)。
イラスト/スタジヲワンツー
男子に愛されるラーメン屋「バリ男」って……?
ある日のことであった。
私は『バリ男』の前の横断歩道で信号待ちをしていた。
以下、その時の『バリ男』前での男子高校生の3人の会話である。
男子A『今日、バリ男に行こうよ』
男子B&C『えーっ、バリ男~』
男子A『バリ男のダメさはよくわかっている。でもそこを含めて俺はバリ男が好きなんだよ!
頼むから今日はバリ男で!』
男子B『……。まあ、そこまで言うなら』
男子C『いいけど……』
という会話を展開し、男子高校生3人は、バリ男の食券を購入&入店……。
そこまで愛されているバリ男って……。
一体、どんなところがダメなんだよ、バリ男。
しかも店名もすごいけど、看板も前から気になっていたよ、バリ男……。
全然関係ないけど、うっかりすると、若い娘さんはAのような男子を『カッコいい……』と思うかもしれないが、お付き合いするならB、もしくはCの男子である。
Aの男子は、自己主張が強くオレ様で口がうまいので、付き合うと、女子はことあるごとに丸め込まれて苦労する(断言)。
さらに、このタイプは浮気の言い訳とかすごい巧妙(妄想)。
B&Cのように妥協、譲歩、人の話に耳を傾ける男子のほうが、お買い得よ!
若い娘さんは心のメモ帳に太字で書き込んでね……。
そんなおっさん女子が選ぶラーメンは、タンメンなのである!!!! しかし、私がバリ男のラーメンを食べる前に、店は閉店してしまった。
後にも先にも「ラーメン屋に入りたい!」と自発的に思ったのは、あの時だけである。
ちなみに私は『好きなラーメンは?』と聞かれると『タンメンです』と言い、たいていの男子に失笑されるおっさん女子である。
さらに、このコラムのイラストを担当するスタジヲワンツーさん(立派なおっさん女子)は、ラーメンといえばスーラータンメン。
しかも、ダバダバと酢を投入して、激しく酸っぱくして食べるのが好きらしいです。
お店の味付けとかそういうのが、いろいろ台ナシらしいよ(苦笑)。
まあ、おっさん女子のラーメン意識なんてそんなレベルだと思う。
ラーメンの話に乗れないおっさん女子がチョイスするラーメンとは?
それは中華屋のラーメンである。
中華屋というのは誰が発明したんだろうか?
天才だよ!
ごはんモノあり、サイドメニューあり、ラーメンあり、ビールあり、で最高である。
そんな私がよく行くのはコピス吉祥寺の地下にある『B』である。
ここのタンメンは普通に美味しい。
私はタンメンにそんなすごいハードルを設定してないので、十分だよ。
あとラーメンの丼を真上からスマホで撮影する男子もおらず、とっても平和である。
ごはんを食べるときは、心の平和ってすっごく大事。
ここは、お昼時におひとり様女子もけっこういるので、たぶん女子が入りやすい店なんだろうなぁ。
天野七月/あまのななつき
ライター&ときどきエディター。吉祥寺在住、ざっくり30年くらい。基本おっさん女子、たま~に乙女マインド。いつも吉祥寺をふらふらしています。ちなみに無芸大食。