「真似しているうちに似てしまった」 シニア初優勝を手繰り寄せた平塚哲二の左ヒジを抜くアプローチ

<コマツオープン 最終日◇7日◇小松カントリークラブ(石川県)◇6958ヤード・パー72>

国内シニアツアー「コマツオープン」は最後の最後まで誰が勝つか分からない展開だった。最終組が18番パー5のティイングエリアに立った時、トータル14アンダーで平塚哲二と片山晋呉が並び、歴代覇者のプラヤド・マークセン(タイ)は1打差の3位。2オン可能な距離でイーグルが出れば逆転もある。
ここまで3番ウッドやドライバーの7割ショットでフェアウェイキープに徹してきた平塚は迷っていた。「絶対にシンゴ(片山)はバーディを獲ってくるから、一か八か思いっ切りドライバーを振ったろうかと心の中では思っていました」。しかし、先に打った片山のドライバーが左のOBゾーンに消えたのを見て、「ちょんと打とうって(笑)」と、安全策に切り替える。緩まないようにバックスイングを小さくしたボールはフェアウェイを捉えた。

最終日の18番のピンポジションは左の奥。「グリーンは左奥から傾斜が来ているので、左に外したら多分寄らない。右サイドのバンカーは許容範囲で、それを越えて乗れば2パットでいく自信はあった」。グリーンの右サイドを狙った2打目は、つかまらずにグリーン右のラフに外れた。

マークセンは2オンに成功しバーディは確実、1パットならイーグルもある。平塚には最低でも寄せワンのバーディが必要だった。右サイドのラフから左奥のピンまで足が使える状況だが、突っ込み切れないとショートする危険もある。そのピンまで35ヤードのアプローチはやわらかい放物線を描いてグリーンに着弾すると、カップに吸い寄せられるように20センチにピタリ。グリーンを取り囲んだギャラリーを沸かせた。
レギュラーツアー時代からアプローチ技術が高く、この日も幾度となくパーを拾っていた平塚だが、最後のアプローチが寄った要因が2つある。1つは中途半端な距離のアプローチを重点的に練習していたこと。「30~50ヤードの距離感が全然合わなかったので、このくらいが30ヤード、このくらいが40ヤード…ってバックスイングの大きさを確かめながらずっと練習していた。それも生きたと思います」。

そしてもう1つは、直前の14番パー5でアプローチを失敗したこと。「ラフからのアプローチが同じシチュエーションなんですよ。その時は30ヤードちょっとで、35ヤードくらい打ってオーバーしたんです。同じ打ち方をしたらちょうど寄るかなと思いました」。結局、マークセンのイーグルパットは外れ、平塚の優勝が決まった。

ショットが本調子でなくてもトータル15アンダーまで伸ばせたのは、やはりアプローチが安定していたからだろう。左ヒジを抜くように軟らかく使うため、フェースローテーションが少なく、パンチが入らない。

「僕が小学生の時に習っていた先生が、アプローチが上手くて左ヒジを抜く打ち方だった。先生から『見て盗め』と言われていたので、真似しているうちに似てしまったと思うんです。気付いたらこうなっていました(笑)」。京都出身の平塚は小学校時代、醍醐ゴルフセンターに通ってゴルフを習っていた。そのときの先生はプロゴルファーの太田了介で、不思議な巡り合わせなのか1991年と1994年に今大会を制している。

その練習場には太田がプレゼントした優勝副賞のコマツの建設機械があり、「先生がここで勝ったのは知っていて、勝てたらうれしいなと思っていた。感慨深いものがありますね」と平塚は遠くを見つめる。ちょうど「教え子みんなで一緒に会いにいこうかって話をしていた」というから、85歳になった師匠にいい優勝報告できそうだ。

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