<ソニー 日本女子プロゴルフ選手権 事前情報◇4日◇かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)◇6670ヤード・パー72>
今年で57回目を迎える女子プロゴルファーNo.1決定戦は、初めて沖縄県が舞台になる。その開幕前の会場では、「独特の芝」に警戒を強める選手たちの声が多く聞こえてきた。一体、どこが普段戦うコースとは違うのか?
例えば、「アムンディ・エビアン選手権」を制し、ここが凱旋試合となる古江彩佳は、「ラフはすごく目が強い芝もある。強いというよりも芝自体が太いので、ラフが深く見えなくても意外と重く感じたりする。ラフはきついなという感じですね」と、その印象を語る。
グリーン周りなどは特に、複数の芝種が混ざり、落ちる場所が少し変わるだけで細い芝だったり、太い芝だったりと大きく状況も変わってくる。アプローチでは、必要な引き出しも増え、ミスにも細心の注意を払わないといけない状況だ。ラフの長さは、最長でも60ミリ程度とメジャーとしては決して長くはないが、セントオーガスチン、センチピードなどの芝種がいくつも混ざることで、難度を増している。
コースセッティングを担当した山崎千佳代は、開幕前日の会見で「ティショットの精度とパッティングが重要になる。本土と違う芝なので、その対応を頑張って欲しい」と選手たちへの期待を言葉にした。「この茎の太さや粘り気は選手たちも経験が少ない。数少ない練習ラウンドでの対応力が試されます。ラフに入った時の冷静なジャッジも大事。マネジメントを間違えると、ミスにつながります」とも話す。
青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏も、「フライヤーが多くなるし、距離感が今回は大事になってきますね。アプローチでも今年イチ“ちゃっくり”しやすい芝といえます」と話す。浮いた球、沈んだ球、そのライを冷静に見極め、グリーンやカップを狙うショット、アプローチが求められる。
またグリーンも、パスパラムというあまり耳慣れない芝が使用されている。同じ沖縄でも、開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」のコーライグリーンとは、雰囲気が大きく異なりそうだ。メジャー3冠を目指す原英莉花は、「エリアによってもホールによっても違う。黒かったり、白かったりする場所があって、黒くても速い場所もある。そのジャッジが難しい」と感想を話す。
山崎や小林浩美会長らとともに会見に出席したアグロノミスト(農学士)の明石良氏は、バスパラムは本州では使えないことを説明しており、それだけでも馴染みがない芝であることがうかがえる。「沖縄は温度が高いけど、(芝の)立ち上がりが遅く、7、8月が勝負だと思っていました。一気に成長してきた」と、その仕上がりも十分な様子。なおグリーンの速さを表すスティンプメーターは10~10.5フィートで昨年大会と同様、硬さの指標になるコンパクションは23ミリと、こちらは昨年よりも高い数値になっている。
普段から日本とは異なる芝質のコースでプレーしている古江や勝みなみ、吉田優利といった海外勢も、やはり「独特」と口をそろえる喜瀬CCの芝。セッティング担当の山崎は、それに対応していく選手たちの姿を「配信などで楽しんでください」とアピールした。(文・間宮輝憲)