「一度撤退も考えました」 米国でも日本でも試合に出られなかった稲見萌寧の“葛藤”と“これから”

<ソニー 日本女子プロゴルフ選手権 事前情報◇3日◇かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)◇6670ヤード・パー72>

8月に行われ、今季の自身日本ツアー初戦になるはずだった「NEC軽井沢72ゴルフ」を体調不良により欠場した稲見萌寧は、歴代優勝者に名を連ねるこの女子プロNo.1決定戦から、復調へのネジを巻き直す。
最後の試合出場は、途中棄権した6月の「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」。そこから2カ月以上、試合に出ることなく調整を続けてきた。「海外の試合の兼ね合いもあって、日本の試合にも出られず、途方に暮れていました。“試合離れ”したという感覚もある」。今季から米ツアーメンバーになったが、それにより米国で試合がある時の日本での試合出場は規定によって制限がかかることに。そのため日本に滞在している間は、トレーニングやラウンドを積むしかない、という時もあった。

試行錯誤してきたスイング面では、今、ひとつの答えを見出している。「作り直しとまではいかないけど、自分のよかった部分を取り戻そうと。(従来の自分のスイングと)逆の動きをするなかで、スピードなども消えていた。そこを取り戻すのが大変」。目指すのは、東京五輪で銀メダルを獲得し、賞金女王にも輝いた2021年頃のイメージ。「私のよさはここ。だから強かったんだよね。それを取り戻せるように」。原点回帰。それがキーワードになる。

今季から主戦場にする米ツアーにも、日本の試合にも出られないなかでは葛藤も抱えていた。「一回(米ツアー)撤退も考えました」。そんな考えが頭をよぎったことを明かす。「前半でポイントを稼げた部分が大きかった。最後のギリギリを頑張っていけるように」。空白期間はあったが、1月の「LPGAドライブオン選手権」で8位に入るなど、上位で戦った試合の貯金が生きており、現在のポイントランクは91位で踏みとどまっている。それも支えになっている。

米ツアーの今季残り試合は、出場人数が制限されるアジアシリーズや最終戦も含めれば9試合。まだそれらの出場資格は得られていないが、シード権はポイントランク80位までに与えられるため、突破は決して不可能な話ではない。

「今までやったことのない動きではなく、いい動きに戻せるように。まだ最近のクセが残ってやりきれないところもある。そこを修正して直していけるように。そのなかで成績を残せれば」

その決意を繰り返す。ひさびさの試合を迎えるにあたり「ソワソワ。恐怖心、大丈夫かなという心配がある」というのも本音だ。今週、来週は米ツアーがオープンウィークということもあり、日本で連戦。その後に再渡米し、19日からの「クローガー・クイーンシティ選手権」から“復帰”する予定も立てている。「メジャーで1勝することがもともとの目標だった。特別な1勝でした」。21年大会では圧勝劇を演じた。そんな思い入れの深い大会からリスタートを切る。(文・間宮輝憲)

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