
新幹線の上級クラスであるグリーン車とグランクラス。しかしながら各新幹線で違いがあります。どれも上質ですが、特に筆者オススメの車両と座席を紹介します。
東海道・山陽新幹線と九州新幹線 N700系はどこが違う?
新幹線の上級クラスであるグリーン車やグランクラスは、日本の鉄道を代表する設備です。特にグランクラスは、普通車なら2+3列とするスペースを1+2列で使っており、憧れの豪華設備といえます。
ただ、各地を走る新幹線で一律の設備やサービスというわけではありません。グリーン車などの上位設備の中でも、筆者(安藤昌季:乗りものライター)オススメの座席について、その差異に着目しながら紹介していきます。■九州新幹線 N700系7000・8000番台 6号車に24席だけ設置されたグリーン席です。2+2列ですが、元になったN700系グリーン席と比較して、枕とレッグレストが装備されています。 JR東海のグリーン席はHC85系など一部の車両しか枕はないのですが、枕を設置したこの車両の着座感を考えると、あった方がよいように感じます。 客室内やデッキ壁面は、重厚な色合いの木目調でお洒落。座席幅は475mm、座席間隔は1160mmです。■東海道・山陽新幹線 N700S「ゆとりある空間と個別間の演出」をコンセプトとした座席で、N700系とは別物です。座面全体が6cm沈み込むことで、体が滑りにくく、大腿部の圧迫も軽減されています。 フットレストも大型化されており、長時間乗車でも疲れにくい設計です。座席幅はN700系7000・8000番台よりもやや広い480mmですが、座席間隔は1160mmで同じです。ただ、リクライニング角度が普通車(121度)と大差ない129度で、初代0系の139度より小さいです。仮眠を取るにはやや適しません。枕の設置と、リクライニング角度の向上は検討されてもよいように思います。
東北vs北陸 グリーン車にも違いが
■東北・北海道新幹線 E5系/H5系 E5系・H5系の9号車に連結されており、座席配置は2+2列、幅は475mm、座席間隔は1160mmです。リクライニング角度は131度とかなり傾きます(JRに確認したところ、「発表されている31度とは90度から何度倒れるかという意味」とのことで、東海道新幹線と表記を合わせた)。また背面テーブル、肘掛け内テーブル、枕、コンセント、レッグレスト、読書灯を備えています。両車はインテリアが異なるものの設備は同等です。■北陸新幹線 E7/W7系 E7・W7系の11号車に連結されており、座席配置は2+2列です。肘掛けに木が張られ、触感は良好です。 総じてE5・H5系グリーン車とほぼ同等の座席なのですが、残念なのは肘掛け内テーブルが廃止され、向かい合わせではテーブルが使えないこと。なお肘掛けにはドリンクホルダーがついています。座席幅は475mm、座席間隔は1160mmです。リクライニングは137度傾き、E5・H5系よりゆったりとしています。
東北vs北陸「グランクラス」はどう違う?
日本の新幹線における最高グレード「グランクラス」は、東北・北海道新幹線E5・H5系の10号車、北陸新幹線E7/W7系の12号車に備わっています。いずれも座席配置は1+2列。まずはスペックを比較してみましょう。●東北・北海道新幹線E5・H5系 グランクラス・座席幅:520mm・座席間隔:1300mm・リクライニング角度:145度・肘掛け幅:中間肘掛けで260mm、それ以外で94mm・テーブル寸法:500mm×250mm●北陸新幹線 E7/W7系 グランクラス・座席幅:525mm・座席間隔:1300mm・リクライニング角度:143.6度・肘掛け幅:中間肘掛けで270mm、それ以外で124mm・テーブル寸法:484.9mm×253mm
スペック上では大差ない両車ですが、筆者のオススメはE7・W7系です。大差を感じるのが肘掛けで、E5・H5系は片側の肘掛けサイズが表記よりかなり狭く、軽く肘を置けるだけで姿勢の自由度がありません。面積が広い側の肘掛けに手を置くと、狭い方と左右の高さが異なります。一方、E7・W7系は左右とも面積が広い肘掛けで高さも同じため、座り心地ではかなり上だと感じました。 テーブルについても、出し方と安定感でE7・W7系が上回っており、新幹線の頂点に立つ設備だと思います。ただ、どちらもリクライニング時の電動音が大きいのだけは残念です。 思えば、今なき100系の1人用グリーン個室が、現代のグランクラスに匹敵する快適性でした。なおJR東海は4月17日、東海道新幹線へ「完全個室タイプの座席」を導入すると発表しましたが、これは新幹線の頂点に立つ設備になるのではないかと今から楽しみでなりません(座席鉄としては枕がないことと、座席に回転機構がなさそうであることは、気にかかっていますが)。