ボーイングが日本にオープンした「研究施設」一体なにをする? 名古屋駅前に誕生 7か国目の拠点設置のワケ

ボーイングが名古屋駅前のビルに研究開発拠点を開設しました。ここはどのようなところで、どのような研究が行われるのでしょうか。

5分野の研究開発を実施

 米の大手航空機メーカー、ボーイングが2024年4月、名古屋駅前のビルに研究開発拠点「ボーイング・ジャパン・リサーチセンター」を開設しました。このセンターではどのようなことが行われるのでしょうか。

同センターにおいては、水素燃料電池システムやロボットの研究開発のほか、従来は米国で行っていたサプライヤー支援を実施していく方針で、人員も将来的には50人規模に拡大する予定です。 ボーイングのシニア・バイス・プレジデント兼チーフ・テクノロジー・オフィサーのトッド・シトロン氏は「当センターの設置により、世界的なエンジニアリング能力強化と日本における長期的なパートナーの関係強化を図ることができる」と期待感を示しています。 ボーイングの研究開発センターは米国内に5か所、海外では韓国、中国、インド、ブラジル、豪州、欧州に置かれ、今回の日本のセンターは、海外で7か国めの拠点となります。「ボーイング・リサーチアンドテクノロジーの取り組みは航空業界の持続可能性向上、そして 2050 年に向けた民間航空産業の CO2 (二酸化炭素)排出量実質ゼロを達成する目標に近づくための技術に注力している」(バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャーのパティ・チャンチェンさん) この説明のように、ボーイングはこの日本の拠点で、「航空機の設計や製造に取り入れるための最新デジタルツール」「複合材」「SAF(持続可能な航空燃料)」「水素技術統合プロジェクト」「ロボティックス」の5分野の研究開発を行っていきます。

まだまだあるぞ「ボーイングの研究施設」で実施されること

 ボーイングは2023年に水素燃料航空機を実現するため「水素技術統合プロジェクト」を経済産業省に提案しており、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)を通して委託研究を受注しました。同研究は名古屋オフィスが「フィージビリティ・スタディ(新規プロジェクトの事前調査)」という形で、水素燃料技術が将来的にどのような可能性とリスクがあるかなどを検討していきます。

 また、同センターでは、ロボットソリューションの開発も行われる予定です。現在、製造した主翼などの点検は、人間が中に入ることが一般的です。しかしこれでは、作業性が悪く安全確保も難しいという課題がありました。そこで、ロボットにカメラやセンサーを取り付けることで、狭く暗い空間の様子を確認できるようにします。同センターには、センサーやカメラを取り付けるアタッチメントを作るための3D プリンターも置かれています。 一方で研究開発とは別に「製造技術インテグレーション(MTI)」と呼ばれる、サプライヤーのサポートを行う部門も設置されています。ここではサプライヤーの製造能力やリスクの検証、部品製造に必要な認定、トラブルが発生した際の迅速なサポートと原因究明調査を行っていきます。これまでは米国からその都度、人員が派遣されていましたが、名古屋オフィスでもその役割を担うことで業務の効率化へとつなげるとのこと。ゆくゆくは日本のみならず、東南アジア全域もカバーしていく予定です。

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