「一生師匠です」 シニア賞金王・宮本勝昌が語る芹澤信雄の存在

「僕が50歳になるのが本当に待ち遠しくて、早く一緒にやりたいなってずっと思っていました。3人で回っている光景が大好きだし、居心地が良い」と昨シーズンのシニアツアー賞金王、宮本勝昌は語る。
レギュラーツアー時代は、芹澤信雄、藤田寛之、宮本の3人でいつも練習ラウンドを行い、トーナメント中の夜の食事も一緒。オフシーズンの合宿やイベントもチームで動いていたため、過ごしてきた時間は家族よりも圧倒的に長かった。しかし、宮本の13個年上の芹澤がシードを失い、シニアツアーに出始めると、3人の時間は減っていく。それから10年以上の月日が経ち、2020年に藤田が、22年に宮本がシニアデビュー。再びお馴染みのメンバーが顔を揃えた。

宮本と芹澤の出会いは34年前。高校3年生の宮本がツアーに出場したとき、「叔父を通じて練習ラウンドをご一緒させていただいたのが初めてです」。日本大学に進んでからも「キャディをやらせてもらったり、三井住友VISA太平洋マスターズに僕が出場したときに、御殿場の芹澤さんのご自宅に泊まらせていただいた記憶があります」と交流が続いた。

96年に宮本がプロとしてツアーデビューを果たすと、芹澤から「一緒に練習ラウンドするか?」と声をかけ、それがきっかけで「練習ラウンドをお願いするようになりました」。時をほぼ同じくして藤田もチームセリザワに加わることになる。

「一生師匠です。今でもゴルフを教わっていますし、ゴルフ場を離れれば親のような存在でもあり、一緒に遊ぶときはお兄さんのような存在でもあったり、一人何役もやっていただいている。いくつになっても変わらない関係が、僕はすごく心地良いんです。だから離れないんだと思います」。芹澤のそばにいるために、同じ静岡県御殿場市に家を建てたほどだ。

教わったのは技術だけではない。プロとしての姿勢もお手本にしてきた。「芹澤さんも藤田さんも『上手くなりたい』っていうゴルフに対する探究心が強い。僕が練習を上がろうかなとパッと見たときに、まだ二人は練習していた。先に後輩が上がるわけにはいかないだろうと思って、分からないけど真似して練習していたというのが最初の頃です(笑)。僕はそこまで練習の虫ではないので、いま思えばそれが良かったのかもしれません」。

それから30年近く経っても、64歳になった芹澤から刺激を受け続けている。ともに御殿場に住んでいることもあって、練習する場所もレーニングする場所も同じで、「僕が練習に行くと必ず芹澤さんがいるんです。トレーニングに行っても予約の枠に必ず芹澤さんの名前がある。60半ばまで来て、こんなに練習やトレーニングするのはすごいし、自分には多分できないだろうなって思う」と話す。師匠が頑張っているから弟子も頑張る。その構図は今でも変わらない。

この話を芹澤に向けると、わっはっはっはっと笑い飛ばしたあとに「僕は宮本のことをあまり褒めたことがないんです」と明かす。それはレギュラー時代から大きな期待をかけていたから。「宮本はポテンシャルは高いのに、ちょっとした成績で満足しちゃうタイプ。『お前は賞金王になれるから頑張れ』と言ってきたけど、逆に目の前で一緒に練習している藤田が賞金王になって、本人もこれじゃいかんと思ったんじゃないかな」。

藤田がレギュラーツアーで賞金王に輝いたのは2012年。43歳での快挙だった。そして今度は宮本がシニアで賞金王となった。芹澤は「ポテンシャルは高いので、ここで甘んじないように。あと5年はシニアで活躍できるんじゃないかな。甘い言葉をかけると油断するタイプだから」と、笑顔で話しながらも51歳の弟子に厳しい。

「周りの環境に恵まれている。芹澤さんと藤田さんがそういう人だったから真似していただけ」。今週のシニアツアー開幕戦「ノジマチャンピオンカップ箱根 シニアプロゴルフトーナメント」でも師匠と弟子の3人揃って練習ラウンドしていることだろう。

externallink関連リンク

今週開幕! 国内シニアツアーの年間スケジュール 2023年シニア賞金王・宮本勝昌 今年も狙うぞ「国内シニア優勝」「レギュラーシード」「米シニア出場権」 スローもあります! シニア賞金王・宮本勝昌のドライバースイング【動画】 ショートコースに往年の名プレーヤーが集結! 「レジェンドカップ」はホストの篠崎紀夫が初代王者 ゴルフフェアの会場に“殿堂入り”の倉本昌弘らが登壇 「70歳までシニアツアーで活躍したい」
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)