「ホンダジェット」の独自設計「翼の上にエンジン」その未来は? “さらに大型化”に耐えられるのか

「ホンダジェット」シリーズは、翼の上にエンジンを設置するというユニークな設計が最大の特徴です。この設計は、未来の「ホンダジェット」シリーズにも引き継がれていくのでしょうか。

デメリットも実はある?

 ホンダグループのホンダ・エアクラフト・カンパニーが開発したビジネス・ジェット「ホンダジェット」シリーズは、翼の上にエンジンを設置するというユニークな設計が最大の特徴です。この設計は、未来の「ホンダジェット」シリーズにも引き継がれていくのでしょうか。

 同社では2024年現在、既存機より大型の「ホンダジェット・エシュロン」の開発を進めています。ただ、この「エシュロン」も独特のエンジン配置はそのままです。ホンダ流のこのエンジン配置は将来、エシュロン以降の大型化した機体でも続けるのでしょうか。 既に250機以上が売れている現行のホンダジェットは、ビジネス・ジェット機として最も小型の「VLJ(ベリー・ライト・ジェット)」(最大離陸重量が4.54t未満)に分類されます。 対するエシュロンは重量が増す一つ上の「LJ(ライト・ジェット)」クラスとなり、2026年の初飛行を目指しています。途中給油なしの北米大陸横断が可能とのことです。 ホンダジェットのエンジン配置は、現代の機体ではまさに唯一無二。一般的にビジネス・ジェット機は胴体の最後部にエンジンを置くため、翼の上にエンジンがあるのは奇抜にさえ見えます。ホンダが一般的な配置を避けたのは、VLJクラスでも客室をできるだけ広くするためでした。 しかし、このエンジン配置は高速時に局部的に発生し抵抗となる衝撃波の対応には不利になる可能性もあります。このためボーイングの風洞で模型を使った実験を繰り返し、空気抵抗自体も減らす最適なエンジン取り付け部の高さや主翼上の位置を算出していました。 設計の経緯は論文のみならず、エンジンと取り付け柱の整流カバーの接合部が描くカーブに現れています。これは、一見したところの奇抜さとは無縁の、地道な研究の結果であることが分かります。 航空機を造り売り続けていくにはシリーズ化が不可欠です。そのようななか、VLJクラスからスタートしたホンダジェットは大型化へ向かっています。将来どこまでこのエンジン配置を取り続けるのでしょうか。

「これ以上デカくなったらエンジンどこ置くの?」

 結論から言えば、ホンダ・エアクラフト・カンパニーからは「現時点ではLJクラス以上の新たな機体の開発を行っていません」と回答を得ています。そのため、ここからは筆者の推測になります。

 機体をさらに大型化すれば、エンジンも大きく重くなるでしょう。独特の配置を続けた場合、主翼構造を強化し重量も増加すると考えると、風洞実験で改めて配置や取り付け部の形状を探らねばならないでしょう。 一方、競合機たちのエンジンが、一般的に機体最後部に配置されているのは、“無難”な設計のためと考えられます。 ホンダがエシュロンの「次」を視野に入れた時、独特のエンジン配置を三度選ぶのか、一般的な配置を採るのか。「先進性・独創性」がホンダ流なら、「柔軟性」もメーカーに欠かせない資質です。また、航空機は自動車と異なり1つのモデルを長く製造するため、エンジン配置の選択はより重いものになりえます。航空機メーカーともなったホンダグループがどのような取り組みようを見せるのかは、長い目で見ても楽しみなポイントといえるでしょう。

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