『志』のある『幻』のカレー <宮城県仙台市発>

おいしいカレーや辛いカレー、安くて早いカレー、家庭的な懐かしい味のカレーなど、世の中には様々なカレーがありますが、お店の『志』を感じるカレーは、珍しいのではないでしょうか?
仙台市太白区の国道286号線のロードサイドにある『桜蔵(さくら)』はそんなカレーを提供する素敵な店です。外観は、広いデッキが気持ちの良い、カレー専門店にしてはお洒落でゆったりとした造りです。お店に入ると、窓が大きく明るい、カウンターとテーブル席のバランスがよく、さっと食べたい方も食後もゆっくりしたい方にも対応できる印象です。

メニューは、さすがカレー専門店の品揃え。チキンカレー、スペアリブカレーは甘口・中辛・辛口から選べる他、野菜カレーにキーマカレー、すーぷカレー、それに仙台ならではの牛タンカレー、さらにはカレーうどん、そして新商品でおすすめというキーマパスタ。「何を頼むべきか?」楽しい悩みの時間が過ごせます。
そして、ちょっと驚くのはお値段。東京のカレー専門店だと1000円を超えるメニューもざらですが、こちらのプレーンなカレーは550円。チキンカレーは650円。最も高いスペアリブカレーでも850円です。しかも、エダムチーズか温野菜、温泉卵のいずれかのトッピングが無料でついてきます。東京で言うと、ファーストフード的なカレーショップの値段。「大丈夫なんだろうか?(味も経営も)」と思いつつ、スペアリブカレー辛口を頼み、一口食べると、これが驚くほど美味!!安い早いのカレーショップでは醸し出せないしっかりとした辛さの背後に奥深い甘さ、アジア風のスパイスカレーとは違うほどよいトロミや優しい味、そして家庭のカレーではなかなか出せないコクと香り。オリジナルなカレーの逸品です。

お店を切り盛りする小貫さんにその秘密を聞いてみると「玉ねぎを4時間炒めて、果物や野菜を数多くベースで使っています」「ダイコンやキャベツ、ほうれん草なども溶け込んでいます」とのこと。手間を惜しまない、多彩な素材、美味しさの一端は理解できました。
しかし、これで採算が合うのでしょうか?
この疑問は、「隣接する社会福祉法人『わらしべ舎』の障害者の方々の働く場でもあるんです」との小貫さんのコメントで理解できました。単なる営利目的や「おいしいカレーを食べてほしい」という思いだけでなく、「雇用者の方々に少しでも雇用の場を」という『志』が生んだカレーなのです。
「味は本物を追求し提供したいので、調理に関わるスタッフは、協力を申し出てくれた仙台市内の他のカレー店で修行してから配属されています」とのことで、「ただ負担もあるので夜は営業していないですし、日曜もご来客状況次第の開店」だそうです。
ある意味「幻のカレー」。カレー好きの方にはこの店を目的に仙台を訪れてほしいくらいですし、出張や旅行で仙台に行く機会のある方には、少々市内から離れていますが、是非応援も兼ねて訪れてほしい名店です。温かくゆったりした雰囲気の店で、店内で販売している障害者の方が作った質の良い石鹸や可愛い小物を眺めつつ、食後にデザートやコーヒーも楽しめます。

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