真っ暗朝練では「ボールがまったく見えない…」 デビュー戦の西郷真央が驚いた“米国の洗礼”の数々

<LPGAドライブオン選手権 初日◇25日◇ブレーデントンCC(フロリダ州)◇6557ヤード・パー71>

いよいよ迎えた米国ツアーの本格デビュー戦。西郷真央にとって、その第1ラウンドは、とにかく“ビックリ”することが多い一日になった。
“Mao Saigo”のコールを受けてスタートしたが、第一打からショットが左へ、左へと飛ぶ苦しい立ち上がりになる。なかなか思い通りにボールを操れず、もがくことになったが、スタート前練習での驚きの光景がその原因のひとつにあった。

この日の西郷は、午前7時25分に10番からの第1組のひとりとしてスタート。コースに来て練習に入っても、まだ辺りは“真っ暗”という時間だった。

「ボールがまったく見えない。ちょっと(ボールが)つかまっている気がしたけど、見えないから調整もできないままスタートしました」。日本では練習も込みで日の出を計算したスタート時間が設定されることがほとんどだが、米国はそうではなかった。いきなりの“洗礼”に、戸惑いを覚えながらコースに出ることになる。

1つボギーをたたいた状態で迎えた17番パー5では、ティショットを左のカート道に外すと、「(地面に)石がたくさんあってクラブがボールの下に全然入らなかった。レイアップの計算はしたけど、ハーフトップっぽくなりました」と、フェアウェイに戻そうとしたボールが、逆サイドの池に飛び込む“まさか”も。なかなか落ち着かない、そんなラウンドが続く。

さらにプレー中には、そんなバタバタした状況に拍車をかける“通達”をされた。「途中で『計測が入る』と言われて。かなり焦ってしまいました」。これは組のプレーが遅い、ということを意味する。これまでスロープレーで罰されたことがない西郷にとって驚きの言葉だった。

初戦ということもあり、どの時点から計測されているのかも把握できない。「日本よりも早くペナルティがきて、いつも以上にバタバタしてしまいました。もったいなかったですね」。その動揺が、通達直後の3番、さらに4番の連続ボギーを誘発してしまった。

ただ、そのなかで奪った2つのバーディは、あす以降につながるものになった。記念すべき初バーディが生まれたのは、379ヤードの前半18番。ここはグリーン手前、290ヤード付近にコースを横断するクリークがあるのだが、ティショットでその近くまで運ぶ、本人も目を丸くするビッグドライブを繰り出した。残り89ヤードの2打目を1メートルにつけると、拍手と歓声がギャラリーからあがる。これを沈め、ホッとしたような笑顔を浮かべた。

さらに後半の6番パー5では、強いアゲンストが吹くなか、ピンまで残り229ヤードのセカンドで5番ウッドを強振。「レイアップしてる場合じゃない。かなり振りちぎりました」という強気をツーオンにつなげ、3メートルにつくイーグルチャンスになった。続くパットは外したものの、楽々のバーディで1つスコアを戻した。

実は開幕前にも、今後どうするかを考えないといけない問題が発生していた。「移動でパターのロフトとライ角が、すごくずれていました。ロフトは2度立って、ライ角も1度変わっていた。調整はしたけど、やっぱりしっくりこない。日本では同じ人に調整してもらっていたけど、人によって曲げ方も違うんですかね」。今後の課題がいくつも浮き彫りになるデビュー戦となっている。

そんな苦しい状況でも「ウェッジは何パターンも準備していたし、練習もやってきたつもり。生かせたと思います」と、粘り強くパーを拾うゴルフも何度も見せた。結果的に初日は2オーバー・73位タイだが、もっと崩していてもおかしくない状況を跳ね返した結果ともいえる。

「予選を通過するためのマネジメントをしたい。攻めたところでバーディが獲れたことをあすにつなげていきたいですね」。もう少し落ち着いたプレーができそうな2日目は、“ビックリ”するようなスコアでリーダーボードを駆け上がりたい。(文・間宮輝憲)

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