世界中で実施の「航空ショー」なぜ英・仏だけ別格扱いなのか? 「歴史ある」だけじゃない!

世界のビジネス向け航空ショーで最も規模が大きいのは、仏・パリ航空ショーと英・ファンボローの航空ショーです。こうしたショーは世界中で実施されていますが、この2国だけは特別扱いを受けています。

歴史的にも古いパリとファンボロー

 世界のビジネス向け航空ショーで最も大きいのは、仏・パリ航空ショーと英・ファンボロー航空ショーと言われています。世界中で年複数回も航空ショーが行われているにも関わらず、この2つは特別視されています。

 パリ航空ショーは世界でも先駆け的存在で1908年に始まりました。ファンボロー航空ショーは1920年の開催に端を発し、どちらも長い歴史をもっています。2023年6月に開かれたパリ航空ショーでは、48か国から2498社の参加があり150機が展示されました。 一方、その5か月後に開かれたドバイ航空ショーでも約180機が展示され出展は148か国から1400社にも及びました。データだけを比べれば、ドバイ航空ショーも世界最大と言っておかしくありません。なぜ欧州の航空ショーは“別格”と見られているのでしょうか。 それぞれのショーへ足を運ぶ中で、筆者が感じたのは、パリやファンボローは格段に工業技術力の層が厚いということです。 いずれのショーも、駐機場以外の敷地や格納庫を利用して屋内展示場を設けています。その屋内展示場への出展が、パリ・ファンボローの2つの航空ショーでは細かい部品をつくる企業にまで及んでいるのです。 それは、パリもロンドン(ファンボロー)含めた近隣国にもエアバスの協力企業が域内に散らばっているためでしょう。また昨今は、電動・水素航空機など実験や開発を主体にした新興企業の展示も、多く見ることができます。 これに対してドバイはどうでしょう。2023年のドバイ航空ショーは、温室効果ガスの排出削減目標や気候変動対策を議論するCOP28の開催を2週間後に控えるなかで行われましたが、ショーではSAF(持続可能な航空燃料)関連の展示は少なく、中東以外からの中小メーカーの出展も、その国の工業会でまとまってブースを設ける形が多くみられました。

「王者」英・仏以外にも日本は売り込みを!

 欧州は20世紀初頭から航空機の開発を続けています。層の厚さにこの伝統が加わり、パリ航空ショーとファンボロー航空ショーを世界一と言わしめているのでしょう。 一方、欧州はウクライナ侵攻によりロシアに経済制裁を科すなど、政治に左右されやすくもあります。対するドバイなどの中東地域は、各国が独自の政策を掲げ、欧米系企業以外の出展が集まりやすい環境にあります。これは欧州の航空ショーに対抗できる特徴といえるかもしれません。

 近年の日本は、ジェット旅客機の開発こそ実現に漕ぎつけなかったものの、航空自衛隊の次期戦闘機の開発や輸送機C-2の海外への売り込みなど、航空産業が再び活性化しつつあります。今後は国内防衛産業の強化へ向けても、海外の航空ショーでの展示を増やしていかなければならないでしょう。この時に、各地域の航空ショーの特徴を見極めて活用することが欠かせません。

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