アーセナルは2年連続、優勝確率は51.6%?…プレミアリーグの“クリスマス首位”を深掘り

 プレミアリーグにおいて“クリスマス首位”はどんな意味を持つのだろうか?
 
 今シーズンのプレミアリーグはここまで18節を消化し、20年ぶりの優勝を目指すアーセナルが首位に立っている。現地時間23日に行われた首位攻防戦では、リヴァプールと1-1で引き分け、敵地『アンフィールド』から貴重な1ポイントを持ち帰った。この結果、勝ち点を「40」まで積み上げたアーセナルは2年連続の首位でクリスマスを迎えている。しかし、ご存知の方も多いと思うが、イングランドにおいて“クリスマスの首位”はほとんど意味を持たない。
 
 プレミアリーグには歴としたウィンターブレイクがないため「冬の王者」という言葉は存在しない。さらにクリスマスでちょうどシーズン折り返しを迎えることも少なく「前半戦のチャンピオン」というわけでもない。それどころか、年末年始に連戦が続くプレミアリーグでは“クリスマスの王者”が三日天下になることさえあるのだ。
 
 今回はプレミアリーグにおける“クリスマス王者”について深掘りしてみよう。

[写真]=Getty Images
 
■過去の成績

 
 1992年に発足したプレミアリーグにおいて、クリスマス時に首位にいた過去31チームのうち、その後リーグ優勝を果たしたのは16チームしかいない。割合にして51.6パーセントに留まっている。昨シーズンはアーセナルがシーズン序盤から首位に立ち、クリスマスも、元日も、バレンタインデーも首位を走っていたが、最終的にはマンチェスター・シティに抜かれて2位に甘んじることとなった。
 
 直近で“クリスマス首位”のチームがそのまま優勝したケースは2年前のマンチェスター・シティだ。彼らは12月に入って首位に立つと、そこからは一度もトップの座を明け渡すことなく、最後まで走り抜けてリーグ優勝を果たした。過去5シーズンで見ると“クリスマス王者”が優勝したのは2回だけ。しかし、2014~2017年までは4シーズン連続で“クリスマス首位”のチームがそのまま1位でゴールテープを切っており、過去19シーズンで見ると13回も“クリスマス王者”が優勝カップを手にしている。その確率は68パーセントとなっており、近年は7割近い確率でクリスマスを首位で迎えたチームが優勝しているのだ。
 
 だが、これはあくまで近年のデータである。プレミアリーグ以前まで遡り、1888年に産声を上げたイングランドトップリーグの歴史で見ると、過去124シーズンのうち“クリスマス首位”のチームがそのまま優勝したのは「56回」しかないという。長きに渡る歴史を振り返ると、“クリスマス王者”の優勝確率は「45パーセント」程度に留まっているのだ。

 
 ちなみに、クリスマス時に首位に立っていた回数は、リヴァプールが最多の20回(プレミアリーグ以前を含め)。次いでマンチェスター・ユナイテッドの18回、そして今季10回目の“クリスマス王者”となったアーセナルと続く。データサイト『Opta』によると、アーセナルは首位でクリスマスを迎えた過去5シーズンはいずれも優勝を逃しており、最後に彼らが“クリスマス首位”から優勝したのは76年前、1947-48シーズンのことだという。こうして見ると、やはり“クリスマス首位”にはあまり意味がないのかもしれない…。
 
■今季は混戦なので…

 
 今シーズンのプレミアリーグは首位アーセナルから5位マンチェスター・シティまでが僅か「6」ポイント差の中にひしめき合っており、現時点で優勝争いは混戦模様だ。イングランドフットボール史において前人未到のリーグ4連覇を目指すマンチェスター・シティの取りこぼしが目立ち、絶対的な本命を欠いたままタイトルレースは中盤戦に突入している。
 
 それは首位に立ったチームの数にも表れている。昨シーズンはトッテナムが開幕から1週間ほど首位に立ったが、その後はアーセナルとマンチェスター・シティが首位の座を複占したため、合計3チームしか首位に立たなかった。それが今シーズンは既にアーセナル、リヴァプール、マンチェスター・シティ、トッテナムのほか、ブライトンやニューカッスルまで一時は首位に立っているのだ。
 
 首位アーセナルの次の試合は現地時間28日のウェストハム戦。2位リヴァプールや3位アストンヴィラは26日に試合を行うため、暫定的にではあるが“クリスマス王者”が早々と首位の座から陥落する可能性もある。
 
■ドイツでは?

 
 それでは他の国はどうなのか? きっちりと数週間のウィンターブレイクが設けられているドイツには「1週目」や「前半戦」を意味する「Hinrunde(ヒンルンデ)」や、“秋の王者”を意味する「Herbstmeister(ハーブストマイスター)」といった言葉がある。今シーズンはレヴァークーゼンが首位でウィンターブレイクを迎えたわけだが、ブンデスリーガは“秋の王者”がそのままリーグ優勝するケースが多いようだ。
 
 絶対王者バイエルンが11連覇中のブンデスリーガでは、過去11シーズンのうち9シーズンにおいてバイエルンが首位でウィンターブレイクを迎えたあと、そのまま優勝を果たしている。さらに言うと、過去60シーズンにおいて“秋の王者”が最終的に優勝できなかったのは19回しかないそうだ。5割程度のイングランドとは対照的に、ドイツでは7割近い確率でウィンターブレイクを首位で迎えたチームが優勝していることになる!
 
 そのため、今シーズンここまで無敗のレヴァークーゼンには悲願の初優勝が期待できるが、やはり王者バイエルンを軽視することはできない。ブンデスリーガで“秋の王者”が優勝を逃した19シーズンのうち、9シーズンはバイエルンが逆転優勝を成し遂げている。さらに、前回レヴァークーゼンが首位で新年を迎えた2009-10シーズンも最終的にはバイエルンが頂点に立っているのだ…。
 
 果たして“クリスマス王者”は“真の王者”になれるのだろうか? 各国リーグのシーズン後半戦の戦いに注目だ。

(記事/Footmedia)

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