インドネシアで開催! 4年ぶりに開幕するU-17ワールドカップを深掘り

 本日(10日)、インドネシアで17歳以下の世界一を決める「FIFA U-17ワールドカップ」が幕を開ける。

 4年ぶりの開催となる異例の今大会は、開幕日となる10日(金)にグループAとグループBの計4試合が開かれ、開催国インドネシアが南米のエクアドルと対戦する。そして11日(土)には、今夏のU-17アジアカップを制したアジア王者のU-17日本代表がポーランドとの初戦を迎える。

 それでは、4年ぶりの開催となるU-17ワールドカップの開催国の情報を整理しよう。

■4年ぶりの開催

 1985年の第1回大会から2年おきに開催されてきたU-17ワールドカップだが、第19回を迎えた今回は4年ぶりの開催となる。前回の2019年ブラジル大会のあと、本来は2021年に開催されるはずだったが、コロナ禍の影響で大会は中止に。そのため今回は4年ぶりとなるU-17ワールドカップだ。開催国ブラジルが2-1でメキシコを退けて頂点に立った前回大会の決勝戦から実に「1455日」後、今月10日にインドネシアでU-17ワールドカップが開幕する!

■開催地はインドネシアだけど…

 今大会の開催国は東南アジアのインドネシアだが、正式に開始国が決定したのは今年6月のこと。というのも、今大会は当初、南米のペルーで開催されるはずだった。ペルーは前回の2019年大会の開催国に立候補してホスト国に選ばれていた。しかしインフラ整備などの問題で開催を断念し、同大会は同じ南米のブラジルで開催されることに。そこで、次回の2021年大会をペルーで開くことが決まった。しかし、前述通り2021年大会は中止。持ち越す形でペルーに2023年大会の開催権が与えられたのだが、再びインフラ整備などの問題で断念。そして、新たな開催地としてインドネシアが選ばれたのが、そこにも複雑な事情があった。

 当初、インドネシアは一つ上の世代である「U-20ワールドカップ」を開催するはずだった。2021年大会のU-20ワールドカップの開催国に選ばれていたのだが、こちらもコロナ禍の影響で中止。そのままホスト国の権利が2023年大会に持ち越され、今年5~6月にインドネシアでU-20ワールドカップを開くはずだった。しかしパレスチナ問題により、インドネシア国内で欧州予選を勝ち上がったイスラエルの本大会出場に反対する動きがあり、FIFAがインドネシアから開催権を剥奪。結局、同大会はアルゼンチンで開催され、ウルグアイが初優勝を収めた。

 そういう経緯もあり、U-20ワールドカップの開催権を剥奪されたインドネシアが、今回のU-17ワールドカップを開催するに至ったのだ。

■アジアで6度目

 今回で19回目を迎えるU-17ワールドカップだが、これまで一度も同じ国で開催されたことがないため、インドネシアが19カ国目の開催国となる。同国でFIFA国際大会が開かれるのは全年代・男女を含めて初めてのこと。U-17ワールドカップが東南アジアで開催されるも初めてだが、アジア開催となると中国(1985年)、日本(1993年)、韓国(2007年)、UAE(2013年)、インド(2017年)に次いで6度目となる。

 実は「アジア開催」には共通点があり、過去5回のアジア開催のうち直近の2017年大会を除いた4大会でナイジェリアが優勝しているのだ! 1993年の日本大会も、アーセナルで活躍することになるFWヌワンコ・カヌを擁するナイジェリアが準々決勝で日本を退け、そのまま頂点に上り詰めた。そんなアジア開催で絶対的な強さを誇り、U-17ワールドカップで最多5回の優勝を誇るナイジェリアだが、今回はアフリカ予選で敗れて出場できない。

 ちなみに、ナイジェリアが優勝していない唯一のアジア開催(2017年インド大会)は、現在マンチェスター・シティで活躍するMFフィル・フォーデンを擁するイングランドが初優勝を果たした。彼らは「アジア開催連覇」を目指し、今大会にも出場する。

■インドネシアの強化

 インドネシアU-17代表は、開催国のプライドを背負い、並々ならぬ思いで今大会に臨む。彼らは、今大会の予選を兼ねたU-17アジアカップ本選にも出場できていなかった。昨年行われた予選で敗退しており、日本が連覇を果たした今夏のU-17アジアカップの舞台に立てなかったのだが、開催権を得たことで初めてU-17ワールドカップに出場する。

 今大会、唯一の初出場チームとなる彼らは必死に強化を行ってきた。チームの基盤は昨年のU-16東南アジア選手権を制した優勝メンバーとなるが、彼ら以外にも埋もれたタレントを発掘すべく、夏に全国規模のセレクションを行った。有望選手を集って国内12の都市で地方セレクションを開催し、そこで選ばれた精鋭50名が最終選考に参加。その中から5選手を新たにU-17代表候補に加えた。そんな過酷な“オーディション”を勝ち抜き、今回のW杯メンバー21名まで残ったのはわずか1人(FWアウリア・ラフマン)しかいないが、インドネシアの本気度が伝わってくる。

 さらに海外からもタレントを呼び寄せた。インドネシアリーグで活躍したブラジル人選手を父に持ち、現在はブラジルの名門サンパウロのユースチームに所属するDFウェウベル・ジャルディム(16歳)。ドイツ生まれながらインドネシア人の母親を持ち、ホッフェンハイムU-17に所属するMFアマル・ブルキッチ(16歳)。そういった才能を迎えて戦力アップを図ってきた。

 そして9月中旬からはドイツで5週間に及ぶ強化合宿を行い、フランクフルトやケルンといった現地クラブのユースチームと7戦も練習試合をして経験を積んできた。気温10℃以下になることもあったドイツで1カ月以上過ごしたため、最高気温35℃のインドネシアに帰国してからはコンディション調整が必要だったという!

 それだけの長期合宿や“補強”など、入念な準備を支えているのがインドネシアサッカー協会のエリック・トヒル会長である。サッカーファンなら聞き覚えのある名前だと思うが、彼はインドネシアの実業家で、過去にイタリアの名門インテルを買収して同クラブの会長を務めたこともある大物だ。今年2月からインドネシアサッカー協会の会長を務めており、母国の威信をかけてU-17代表チームを強化してきたのである。

 開催国インドネシアは、エクアドル、パナマ、モロッコと同じグループA。10日(金)の初戦では、エクアドルと対戦するが、果たして入念な強化を行ってきた彼ら初出場で結果を残せるのだろうか?

 11日(土)にポーランドとの初戦を迎えるU-17日本代表と共に、開催国チームにも注目したい。

(記事/Footmedia)

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