「ダービー男」や「遅咲きの点取り屋」…注目の“デア・クラシカー”で初出場の選手とは?

 今週末はドイツサッカー界最大のビッグイベントが開かれる。ドルトムントとバイエルンによる「デア・クラシカー」だ。

 今シーズンのブンデスリーガは、前評判通りに強豪クラブが上位に名を連ねている。首位に立つのは快進撃を見せるシャビ・アロンソ監督のレヴァークーゼンで、2位にはリーグ11連覇を達成している絶対王者のバイエルンがつけている。そして4位には、12季ぶりの優勝を目指すドルトムントが控えている。そのため今月4日(土)に開かれるドルトムント対バイエルン、いわゆる「デア・クラシカー」は今季の優勝争いを占うトップ4対決となるのだ。

 そんな今回の大一番では、デア・クラシカー初出場となるキープレーヤーが何名もいるので紹介しよう。

[写真]=Getty Images

■ダービー男

 まず、今回の試合で主役となる選手といえば、イングランド代表FWハリー・ケイン(30歳)だろう。夏に1億2000万ユーロ(約190億円)というブンデスリーガ記録でトッテナムからバイエルンに鳴り物入りしたケインは、これが自身初のデア・クラシカーとなる。

 世界的な点取り屋は、バイエルンでも期待通りの活躍を見せている。前節のダルムシュタット戦では今季2度目となるハットトリックを達成。とりわけ2点目は秀逸だった。イングランドの英雄であるデイヴィッド・ベッカムを彷彿とさせる、ハーフウェイライン手前から「57メートル」の超ロングシュートを決めて見せたのだ。

 これでケインは開幕9試合で12ゴール。これは、ノルウェー代表FWアーリング・ハーランドのドルトムント時代の10ゴールを抜いて、ブンデスリーガでのデビュー戦から9試合での最多ゴール記録となっている。そんなケインは、イングランド時代には“ダービー男”としても知られていた。

 トッテナムでは、宿敵アーセナルとの「ノースロンドン・ダービー」でゴールを量産。アーセナルを相手に公式戦19試合に出場して、実に14ゴールも叩き出したのだ。これは114年の歴史を誇るノースロンドン・ダービーにおいて歴代最多ゴール記録となっている!

 これまで選手キャリアで一度もチーム優勝を経験したことがないストライカーは、初めてのタイトルを求めて海を渡り、今週末ブンデスリーガ最大の一戦に挑む。

■遅咲きの点取り屋

 バイエルンにケインがいるのなら、ドルトムントには国産の点取り屋、ドイツ代表FWニクラス・フュルクルクがいる。ケインと同じ1993年生まれの30歳のストライカーは、ブレークするまでに時間がかかったが、ブレーメン時代の2021-22シーズンにブンデスリーガ2部でゴールを量産すると、トップリーグ昇格後も得点を積み重ねて昨季はブンデスリーガ得点王に輝いた。さらに昨年は「29歳280日」でドイツ代表デビューを飾り、ワールドカップでもケインと同じ2ゴールをマークした。

 今夏、ブレーメンから加入した際の移籍金は、ケインの10分の1程度。新天地ではリーグ戦7試合で2ゴールを奪っている。ケインほどは「ダービー男」の印象はないが、ブレーメン時代の2021-22シーズンには、2部リーグでハンブルガーとの“ノルトダービー”に出場してゴールも決めており、勝負強さも抜群だ。リーグ戦でバイエルンを相手に5年間も勝てていないドルトムントに、デア・クラシカー初出場で勝利のゴールをもたらすことができるだろうか?

 ちなみに、フュルクルクも「チーム優勝」を経験したことがないため、今回のデア・クラシカーでは無冠の新戦力ストライカー対決という構図になる!

■その他

 新戦力といえば、バイエルンの韓国代表DFキム・ミンジェ(26歳)も初めてのデア・クラシカーとなる。夏にナポリから鳴り物入りしたセンターバックは、昨年のセリエA最優秀DFに選ばれたほか、今週はブライトンの日本代表MF三笘薫などを抑えてAFC国際最優秀選手賞も受賞した。トーマス・トゥヘル監督からの信頼も厚く、今季バイエルンでFWケインに次ぐリーグ戦での出場時間を誇っている。「とても落ち着いているし、プレーが明確で素晴らしい。パスを出すときは、色気を出さずにインサイドキックで確実につなぐ」と指揮官も賛辞を寄せている。

 デア・クラシカーにおけるアジア人と言えば、2012年5月のDFBポカール決勝で先制ゴールを決めてドルトムントを頂点に導いた元日本代表MF香川真司が有名だが、キム・ミンジェも伝統の一戦の歴史に名前を刻みたいはずだ。

 バイエルンでは、ライプツィヒから加入したオーストリア代表MFコンラート・ライマー(26歳)もデア・クラシカー初出場となる。どうやらライマーはドルトムントとは相性が良いようで、ライプツィヒ時代を含めてブンデスリーガ通算139試合に出場して10ゴールしか決めていないが、そのうち2ゴールがライプツィヒ時代の22年4月のドルトムント戦で決めたもの。彼がブンデスリーガで1試合2ゴールを決めたのは、今のところその一戦だけだ!

 ドルトムントでは、アルジェリア代表DFラミ・ベンセバイニ(28歳)にも注目だ。今夏フリートランスファーで加入した左サイドバックは、ボルシアMGに所属していた昨季、ケルンとの“ラインダービー”で大活躍。得意のPKなど、左SBながら2ゴールを奪ってチームを5-2の勝利に導いた。ちなみに、彼がブンデスリーガで1試合2得点するのは2度目のこと。1度目は、2019年12月のバイエルン戦だった!

 また、ドルトムントにはドイツ代表MFフェリックス・ヌメチャ(23歳)という新戦力もいる。レアル・マドリードへと巣立ったイングランド代表MFジュード・ベリンガムの後釜として期待される若手は、大きなインパクトを残せていないが、先月のチャンピオンズリーグのニューカッスル戦では移籍後初ゴールを決めてチームに勝ち点3をもたらした。

 その他にも、バイエルンの新星、18歳のFWマティス・テルも起用されればデア・クラシカー初出場となる。

 ダービー男、遅咲きのストライカー、ドルトムント戦を得意とするライマーなど、今週末の大一番はデア・クラシカー初出場選手に注目したい。

(記事/Footmedia)

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