32歳となった石川遼が、米ツアー参戦を「遅すぎることはない」と言い切る理由

<ワールドワイド・テクノロジー選手権 事前情報◇1日◇エル・カルドナル at ディアマンテ(メキシコ)◇7452ヤード・パー72>
 
石川遼は2週前の日本開催の米PGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」で4位タイに入り、その『10位以内の資格』で今週メキシコで開催される「ワールドワイド・テクノロジー選手権」に出場する。「全米オープン」を除いて北米大陸で行われる米ツアーに出るのは21年3月の「ザ・ホンダ・クラシック」以来、およそ2年8カ月ぶりとなる。
2007年、15歳で成し遂げた衝撃の国内男子ツアー優勝。その後、高校生でプロ転向し、18歳で史上最年少の賞金王に輝くなど、これまでにツアー通算18勝を積み上げてきた。ずっと国内ツアーに専念していたわけではなく、13年~18年まで米ツアーに参戦している。
 
16年11月に松山英樹とのタッグで出場した「ISPSハンダ・ワールドカップ」(6位タイ)を除けば、これまで米ツアーでトップ10は11度目、トップ5は4度目を数える。もっとも勝利に近づいたのは12年3月の「プエルトリコ・オープン」だろう。優勝争いを繰り広げて2打差の2位だった。13年10月の「シュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン」でも2位に入っているが、このときは最終日に「65」と追い上げながら優勝したウェブ・シンプソン(米国)とは6打差があった。
 
【石川遼の米ツアーにおけるトップ10】
10年2月 WGC-アクセンチュア・マッチプレー選手権 ベスト16で9位
11年8月 WGC-ブリヂストン招待 4位タイ
12年3月 プエルトリコ・オープン 2位
12年6月 ザ・メモリアル・トーナメント 9位タイ
13年10月 シュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン 2位タイ
14年1月 ファーマーズ・インシュランス・オープン 7位タイ
14年3月 アーノルド・パーマー招待 8位タイ
15年5月 ザ・プレーヤーズ選手権 8位タイ
15年8月 クイックン・ローンズ・ナショナル 10位
16年10月 CIMBクラシック 10位タイ
23年10月 ZOZOチャンピオンシップ 4位タイ
 
米ツアー優勝は時間の問題かに思われたが、それを達成することなくシードを失い、日本に主戦場を移したのが19年。「このままじゃ世界で通用しない」と、20年からはスイングの再現性を高めるために大幅なスイング改造に踏み切った。それが実ったのは昨年。「三井住友VISA太平洋マスターズ」で3年ぶりの勝利を挙げた。日本で5シーズンを過ごしながら石川のなかでは、「またPGAツアーに」という思いがある。
 
ZOZOの最終日は一時トップと2打差に迫った。久しぶりに米ツアーで優勝争いを味わい、『PGAツアーへの思いがより強くなった?』と聞くと、「常にめちゃくちゃ強いので」と笑いながら否定する。続けて、「自分が上手くなってPGAツアーでプレーすることは思い描いている」と話す。
 
その3日目には優勝したコリン・モリカワ(米国)と同じ組で回っている。「久しぶりにトップ・オブ・トップの選手とプレーして、彼自身も悪くない状態で優勝しましたし、なるほどって思いましたね」。世界最高レベルの技術を肌で感じ取った。
 
そんな石川も今年9月で32歳になった。自身が最初に米ツアーにフル参戦したのは21歳の時。同い年の松山英樹も21歳で、丸山茂樹は30歳で米ツアーに参戦した。再び海を渡るには少し遅いのではないかという向きもあるが、「遅すぎることがないと信じています」ときっぱりいう。それには、石川よりも11歳年上の13年のマスターズチャンピオンの存在がある。
 
「僕の中ではアダム・スコットがロールモデル。アダムは『今がベストだ』と毎年言っているんですよね。本当にそう見えるし、飛距離も伸びていると聞きました。自分の11年先を行っているアダムがあれだけバリバリでカッコよくやっているということは、11年後にあのフィジカルの感じでいることは可能。だから歳は考えなくてもいい。遅すぎることはないと自分のなかで信じられる」。
 
親日家として知られ、ユニクロとウェア契約を結ぶ米ツアー通算14勝のアダム・スコット(オーストラリア)は、43歳となったいまも世界最高峰のツアーでシードを守り続けている。最近は毎年のように「日本オープン」にスコットが出場しており、石川とも声をかけあっている。実際、昨年の日本オープンの練習ラウンドで一緒に回り、今年の予選ラウンドで同組となった蝉川泰果は、何度もアウトドライブされて「飛距離が伸びている」と驚いていた。
 
今年は米ツアーにつながる下部のコーン・フェリーツアーの予選会出場を見送った石川。参戦は早くても再来年以降となりそうだ。ただ一発逆転の道もまだ残されている。今週のメキシコで優勝すれば、来年からの2年シード。または、再びトップ10に入って次戦に出場し、ポイントを積み重ねるか。いずれにしても米ツアーへの再挑戦はまだ始まったばかりだ。

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