やっと、やっと飛んだ! ANA悲願「巨大機A380の3号機」初飛行クルーに聞く オレンジウミガメついにハワイへ

受領から2年の時を経て、念願の定期旅客便への就航を実現したエアバスA380「フライングホヌ」3号機。同機の初便を支えた乗員や、到着を出迎えたホノルル支店などは、この就航をどのように受け止めているのでしょうか。

需要から2年、ほとんど「成田に置きっぱなし」

 ANA(全日空)が2023年10月20日より、超大型旅客機エアバスA380「フライングホヌ(FLYING HONU)」の3号機(機番:JA383A)を就航させました。この機は2021年10月に受領したものの、新型コロナウイルス感染拡大による国際線需要の落ち込みをうけ、そこから2年間定期便に投入されることなく、成田空港にとどめ置かれていた状況でした。 この機の運航に携わった人たちは、“2年越しの念願”となるこの機の就航をどのように捉えているのでしょうか。初便を担当したANA乗員の方などを取材しました。

「今回の就航で、3号機の実機を初めて見ましたが、ふたつの意味でキレイな機体だなと感じました。ひとつ目は機体が汚れていないこと、そしてもうひとつは(オレンジのカラーリングが)空に映えることです。『フライングホヌ』の3号機は、そういったキレイさをお客様にも感じていただける機体なのではと思います。やっと本来の使い方ができるということはうれしく思いますし、ハワイ渡航への”起爆剤”となればと考えています」(ANAホノルル支店長 平島敬太さん) ANAではA380「フライングホヌ」を成田~ホノルル線の専用機として3機保有。それぞれ異なるカラーリングで、ハワイで神聖な生き物とされる「ホヌ(HONU。ウミガメの意味)」の特別塗装を施しています。 3号機はハワイの「夕陽」をイメージした「サンセットオレンジ」のカラーリングで、ハワイの「空」をイメージした「ANAブルー」の1号機(JA381A、2019年5月就航)ハワイの「海」をイメージした「エメラルドグリーン」の2号機(JA382A、2019年6月就航)とともに成田~ホノルル線で3機体制で活躍する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、受領・投入も延期に。1号機と2号機は2022年7月より定期便への投入が再開されたものの、3号機は整備作業関連のフライト以外は、成田空港の駐機場にとどめ置かれたままでした。 そうした経緯を経て就航した「フライングホヌ」3号機。その初便である20日成田発ホノルル行きNH182便に乗務したパイロットとCA(客室乗務員)は、どのような心境だったのでしょうか。

運航支えた乗員たち、初便をどう受け取った?

 この便では永岡伸夫機長、佐立弘一機長が操縦席に座り、客室責任者であるチーフパーサーが松本伸子さん、CAとして島倉愛香さんが320人の乗客とともに、NH182便に乗り込みました。「フライングホヌ」3号機の初便に乗務が決定したときの心境を、乗員は次のように振り返ります。

「正直最初は、機長責任者としての責任は重大だなと感じておりました。まずは何事も無く無事にフライトを終えることができればと思いました。しかしながら、搭乗ゲートで早くからもっとも早い搭乗を目指してお待ちのお客様と二言三言お話しさせてもらったり、海外からこの真新しいA380搭乗のためにわざわざお越しいただいたお客さまから感謝のお言葉を頂いたりして、やはり皆様がコロナ禍からの停滞気味な空気を吹き飛ばすハッピーなニュースを期待していたのではと感じました」(永岡伸夫機長)「自分が担当となったことよりも、やっと3号機が就航することが、社員としてとても嬉しく思いました。コロナ禍の中、成田空港で止め置かれている3号機を見かけていたので。このフライトに携わる社員が一丸となって、お客様に楽しんで頂けるフライトにしたいとチーフパーサーとして強く思いました」(松本伸子さん) そのようななか成田空港を飛び立ったNH182便。機内の様子を乗員の方は次のように話します。「お客さまへは、念願の3号機を商用飛行に投入できた感謝の気持ちを胸に、初便でもいつも通り安全で快適で、そして定時に到着するフライトを提供できるように気象解析をして、最適な経路や高度を選択するよう心掛けました。フライト中は機体が新しいので、なるべく不具合が発生しないよう優しく丁寧な操作を心掛けました」(永岡機長)「いつも通りを心掛けていました。しかしながら、外部点検の時にいつも遠くに見ていたオレンジ色のピカピカの機体を間近に見て心拍数が少し上がりました。それからは少しだけ、スイッチや計器の操作や確認がいつもより慎重になった気がします」(佐立弘一機長)「『フライングホヌ』をイメージしたぬいぐるみをお持ちの方やご自身でオリジナルグッズを作成しご搭乗して下さった方、3号機に合わせてオレンジ色のお召し物を身につけてご搭乗して下さった方など、オレンジ色でいっぱいとなり、初就航のお祝いをみんなで共有できた空間でした。通常のフライトよりも多くのお客様とフライングホヌについてお話させていただくことができ、私達もとても楽しみながらフライトさせていただきました」(島倉愛香さん)

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