「下剋上球児」キャスト起用の一番の決め手「運命」を感じた生徒役俳優とは<塚原あゆ子監督インタビュー前編>

【モデルプレス=2023/10/29】俳優の鈴木亮平が主演を務めるTBS系日曜劇場『下剋上球児』(毎週日曜よる9時~)。同作の塚原あゆ子監督がモデルプレスのインタビューに応じ、球児キャストの起用理由や、アドリブシーンなどについて教えてくれた。<前編>

「下剋上球児」鈴木亮平を起用した唯一の理由

◆鈴木亮平主演「下剋上球児」

高校野球を通して、現代社会の教育や地域、家族が抱える問題やさまざまな愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメント。鈴木演じる南雲脩司は、36歳で教員になり、越山高校に赴任。二児の父親で、井川遥演じる妻の美香の実家で暮らしている。

同作は、2018年に三重県の公立高校・白山高校が甲子園に初出場するまでの軌跡を描いた「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘 著)にインスピレーションを受け企画。登場する人物・学校・団体名・あらすじはすべてフィクションで描かれている。また、『アンナチュラル』『MIU404』『最愛』『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』をはじめ、多くの人気ドラマを世に送り出してきた新井順子プロデューサーと塚原監督が再びタッグを組む。

第2話では南雲が監督に就任し、本格的な練習をスタートした越山高校野球部。しかし南雲は教員免許を持っていないという衝撃の事実が明かされた。

◆「下剋上球児」球児役キャストの決め手

― 球児役のオーディションでは、何を基準に選んだのでしょうか?

塚原:まずは野球ができること。プロ級である必要はないですが、運動神経も含めてできそうだということが第一でした。さらに、魅力的な表情をどれくらい持っているかを見ました。野球の話をするときに凛々しくなる子たちを集めているので、みなさん野球の話をすると別人のように輝きます。例えば「あのシーンのセリフさ…」と言いに行くと恐縮してしまうのですが、「ピッチャーからキャッチャーに返球するときの話なんだけど…」と言い方を変えると、グイグイ前に来ます。リアクションが自然に出るような子たちとやりたいなと思っていたのでぴったりな12人です。強豪・星葉高校野球部部員の江戸川快人役の清谷春瑠くんも児玉拓海役の羽谷翔太くんも野球の話になると良い顔をします。

― 球児たちの中でこれまでの撮影で印象に残ってることはありますか?

塚原:楡伸次郎役の生田俊平くんなのですが、お腹の中から感情が出てくるような感覚が魅力的だなと感じました。オーディションのときにも人間力みたいなところをすごく感じました。

― 新井プロデューサーは野球が上手くなければ、プレーをしないキャラクターを配役するとおっしゃっていましたが、実際に役柄を変更した役はありますか?

塚原:久我原篤史(橘優輝)の足が速い設定は橘くんだからこそです。橘くんに会わなかったら多分あの役はなかったと思います。野球が上手くなくてもバットを振っていた3年生は原案の学校にもいたのですが、それは野球経験に関わらずお会いした中で運命を感じた方にお願いしようと思っていました。結果、日沖誠役は菅生新樹くんに決まったのですが、菅生くんは球児役の方たちの中に強豪校出身が多いという情報を聞いて「俺めっちゃ場違いですよね?」と驚いていたんです。その感じがすごく日沖に見えて、これは運命だと思いました。

◆「下剋上球児」オーディション落選者も起用する理由

― 一度オーディションに落ちてしまった方も続々と出演していますが、落ちた方を起用した理由はありますか?

塚原:オーディションをする過程で、合う役の可能性が見えたというのが大きいですし、やっぱり出会いなので。彼らの人生もありますし、そのときのベストを作るのはかなり迷うんです。「この子はここが良かった」の“良かった”部分を伸ばしたいなと思って、キャラクターが台本の中に生まれる形になっていきました。

◆「下剋上球児」“分かる方には分かる”小ネタが満載

― 野球経験のある球児たちから野球について教えてもらうこともあるとお伺いしました。

塚原:第6話はみんなで相談して作っています。私は野球が全く分からないので、野球のシーンは球児たちが教えてくれました。「何で二塁に行くのか分からん」「それでアウトになる意味が分からん」というやり取りをしています(笑)。

― 球児たちとのそういったお話から得られるものはありますか?

塚原:「ショートの子が若干深めに守ってやるのは愛情なんですよ」と言っていたのを聞いて、第2話では南雲先生が長谷川幹太(財津優太郎)に少し下がるように伝えて、初心者の椿谷真倫(伊藤あさひ)を守る発言をしているのですが、分かる方には分かる小ネタを満載に詰め込んでいます。細かく観ていただくと、彼らが台本にはない野球用語を使用するんです。それは彼らが阿吽の呼吸でやっているのでそういった部分も楽しんでいただきたいです。

― 第2話で、犬塚翔(中沢元紀)がベンチで富嶋雄也(福松凜)の弁当を見て「先輩、彼女いるんですか?」と言ったセリフが印象的でした。

塚原:そのような細かいところまで観ていただけると、球児たちも頑張ります(笑)。あれは単純にアドリブだと思います。あの世代の子たちの会話っぽいなと(笑)。

◆「下剋上球児」撮影の裏話

― 撮影の裏話を教えてください。

塚原:鈴木さんと球児たちの関係性が本当に先生と球児みたいなんです。これからあと2代入ってきますが、第1話冒頭のシーンにもその子たちが参加していているんですね。撮影していた当時はまだ関係性ができあがっていない中でプレーをやらなければいけない状況でして、緊張しながら入ってきたと思うんですが、鈴木さんが気さくに話しかけてくださっていて部活みたいな雰囲気になったんです。ご飯を食べ終わったら「よし、ノックするぞ」とまだ馴染めていない子の名前を呼んでノックしてくださるなど、球児たちは救われていると思います。

◆「下剋上球児」球児たちをワンショットで映さなかった背景

― 球児一人ひとりの描き方で心掛けていることはありますか?

塚原:野球というスポーツの特性上、一気に球児がでることになるのですが、徐々に知っていただけるように第1話ではあえて球児たちの1ショットは少なめにしています。球児たちと鈴木さんとで線引きをしていました。第2話では、例えば試合に来なかった野原舜(奥野壮)、久我原篤史(橘優輝)に焦点を当てて、それ以外は犬塚翔(中沢元紀)と根室知廣(兵頭功海)と少し分けて撮影をすることで覚えやすくなるかなと計算していました。南雲先生の過ちをまず押し出して、それの過ちに球児たちがどのように立ち向かっていくのか。下剋上を果たすためのメンタル、彼らの成長物語…底辺だと言われていることに甘んじてしょんぼりしていた子たちが、自己肯定感を高めて変わっていく姿から元気をもらってほしい、というメッセージも含めています。

― 最後に第3話の見どころをお願いします。

塚原:南雲先生の暴露がどのような形で彼らの夏に影響していくのか。そして南雲先生の秘密を聞いてしまった山住香南子先生(黒木華)がどのような状況になっていくのか。先生は生徒たちにどのような背中を見せていくのか。彼らは彼らなりに、必死に練習して初めての夏を迎えます。3年生の引退も見届けていただきたいです。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

◆「下剋上球児」第3話あらすじ

「教員免許を持たずに高校教師をしていた」という衝撃の事実を山住(黒木華)に打ち明けた南雲(鈴木亮平)。おまけに南雲は年度いっぱいで教師を辞めるつもりで、野球部の監督もこれ以上は続けられないという。星葉高校との練習試合で惨敗したものの、チームの今後に可能性が感じられた矢先の南雲からの話に山住は動揺を隠せない。

そんな中、バッティングセンターで地元の会社員に絡まれてしまった越山高校の生徒たち。野球部主将・日沖(菅生新樹)の弟で南雲のクラスの生徒である壮磨(小林虎之介)が相手の挑発に乗ったことで、不可抗力ながら暴力事件へと発展してしまう。

一方、南雲家では美香(井川遥)に、以前勤めていた会社から1年間だけ復帰してくれないかと声がかかっていた。子どもたちを置いて東京には行けないと話す美香に、南雲は自分が教員免許を持っていないことを言い出せず…。

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