「ビジネスクラス」はなぜ“ビジネス”? 3グレードの中間が生まれたワケ「名前違った」昔の名残いまも

旅客機の座席は基本的に3ランクに区分されます。真ん中に位置するシートをなぜ「ビジネスクラス」と呼ぶのでしょうか。実は最初の呼び方は全く違うものだったようです。

ジャンボジェット就航がビジネスクラス誕生の契機

 国際線旅客機の座席区分は、会社によって異なる言い方をする場合もありますが、一般的には「ファーストクラス」「ビジネスクラス」「エコノミークラス」の順にランク分けすることができます。ファーストクラスとエコノミークラスとのあいだに位置するビジネスクラスは、エコノミークラスよりワンランク上のサービスを受けられます。 しかし、そもそも「ビジネス」とは「事業」や「業務」、「取引」といった意味合いの言葉です。にもかかわらず、「エコノミーの上」あるいは「ファーストの下」として、なぜ「ビジネス」という呼称が使われているのでしょうか。

 これは、各クラスの登場順を振り返るとわかるかもしれません。航空の歴史に詳しい人物によると、「戦前の旅客機の多くはファーストクラスのみ」「戦中にエコノミークラスのみの旅客機が登場」、そして、この2クラスをそなえた仕様が増え始めたのは1950年代になってからだといわれているそうです。 そして1970年代、ボーイング747などが登場したことで、機材の大型化による座席の供給過多が発生します。空席が目立つようになると、エコノミークラスを割引するようになり、これによってエコノミークラスとファーストクラスとの料金格差はさらに開いてしまったのだそうです。結果、中間クラスとしてのビジネスクラスが誕生したとされます。 この経緯は日本でも同様のようです。日系航空会社の関係者はビジネスクラス誕生の経緯について、1970年代に登場した大型旅客機による大量輸送時代がもたらした海外旅行の大衆化と、これにともなう「団体割引運賃」をはじめとする手ごろな価格の座席増大が背景ではないか、と話します。

ビジネスクラス航空券なぜ「C」表記?

 では、最初にビジネスクラスを導入したのはどこなのでしょうか。前出の関係者は「最初に導入したのは、当時アメリカを代表する航空会社だったパンアメリカン航空だとされています」と述べていました。 しかも当初はビジネスクラスではなく、「クリッパークラス(Clipper Class)」と呼ばれていたのだとか。そこで、「クリッパークラス」からビジネスクラスへ呼称が変化した理由を尋ねたところ、諸説あると前置きしたうえで、おもに出張や社用(ビジネス)として、割引されない通常料金でエコノミークラスを利用する、比較的運賃の負担力がある顧客に対して販売されたことから、「ビジネス」になったのではと話してくれました。

 日系航空会社がビジネスクラスを設定するようになったのは1980年代のことだそう。ANA(全日空)は「ス-パ-エグゼクティブクラス」、JAL(日本航空)は「エグゼクティブクラス」の呼称でスタートしたと言われています。 ちなみに、ビジネスクラスの航空券にはビジネスの「B」ではなく、「C」とクレジットされています。その理由については「クリッパークラス」の頭文字からとったという説が有力とされています。

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