“50歳からの夢”を追いかける片山晋呉と宮本勝昌 レギュラーツアー賞金シード喪失の危機も「いつかは途切れる」

<日本プロゴルフシニア選手権 事前情報◇4日◇サミットゴルフクラブ(茨城県)◇7023ヤード・パー72>
 
レギュラーツアーとシニアツアーを掛け持ちする片山晋呉と宮本勝昌が、今まさにゴルフ人生の分岐点を迎えている。今週はレギュラーツアーの「ACNチャンピオンシップ」が開催されているが、ともにシニアツアーの公式戦「日本プロゴルフシニア選手権」に出場する。
水城高校、日本大学の同級生という2人。プロの世界に入っても活躍を続け、片山は50歳、宮本は51歳となった今もレギュラーツアーの賞金シードを持つ。20代の選手たちが次々と台頭する舞台にあって、50代で賞金シードを持つのは二人だけだ。しかし、それは今季で途切れる可能性がある。

■宮本勝昌は米シニアのQTにエントリー済み

宮本はここまで、レギュラーツアー10試合を戦い、予選通過は4回。トップ10はなく獲得賞金は約303万円でランキング104位と、苦しい戦いが続いている。65位までの賞金シード獲得には、ここからおよそ1000万円を積み上げなければならない。「レギュラーはあと3試合です。そこで1000万円を稼いでシードを決めます」と笑う。

レギュラーのシード争いが決着する「カシオワールドワールドオープン」には出ず、同週に行われるシニアツアー最終戦、「いわさき白露シニア」に出場する。レギュラーには「マイナビABCチャンピオンシップ」、「三井住友VISA太平洋マスターズ」、「ダンロップフェニックス」の3試合に出る予定となっている。

一方で、シニアツアーでは7試合に出場して優勝1回を含むすべてでトップ10入り。約2740万円を稼いで賞金ランキングではプラヤド・マークセン(タイ)と約107万円差の2位につけている。レギュラーの同週に開催されるシニア2試合に出ることができないため、「賞金王はなかなか…」との見解を示す。それでも「限られた試合でもちろん賞金王は目指しますけど、結果的になれればいいかなというところはあります」とも考えている。

そんな宮本は、米国シニアツアーの来季の出場権を目指し、12月に行われるPGAツアー・チャンピオンズの「QTファイナルステージ」にエントリーを済ませている。『10月10日時点の日本シニアツアー賞金ランキング5位までの最上位者』の資格でQTファーストステージをスキップすることができる。今週の日本プロシニアの結果に関わらず、宮本が賞金ランキング6位以下に落ちることはなく、ほかにエントリーを希望している選手はいないため、ファイナルから戦うことができる。

今年8月の「ファンケルクラシック」でシニアツアー初優勝を挙げたときには、「チャンピオンズツアー(米シニアツアー)といえども、みんな歳を取っている。大昔に行ったときはダメだったけど、今ならいけるんじゃないかってちょっと思っています。自分がいいプレーをすれば優勝争いできる」と語った宮本。今年5月のシニアメジャー「全米プロシニア」では優勝争いのすえに10位に入り、手応えを掴んだ。

「もちろんシニアのメジャーも来年は出たいと思っていますけど、その普通のチャンピオンズツアーにすごく興味がある。狭い門ではありますけど、何とか切符をつかみたいですね。うまくいけば来年は2月か3月から出られるので。楽しみですね」と、気持ちはすでに新たな夢に向かっている。

米国シニアツアーはレギュラー時代に実績を積んだ選手が優遇されており、QTからツアーに参戦するのはかなりの狭き門。今季の出場実績を見てみると6位以下の選手はほぼ出場できていない。『5位以内』が目安になりそうだ。

宮本はレギュラーツアーの賞金シードを喪失しても、『生涯獲得賞金ランキング上位25位以内』の資格を使えば、来年1年間はレギュラーに出場することができる。それがもし、米国シニアツアー出場権獲得となれば、それを行使せずに米国中心の転戦プランを思い描いている。

■片山晋呉の50歳からの夢も米シニアツアー

1月に50歳の誕生日を迎え、今季シニアツアーデビューを果たした片山。現在、レギュラーツアーの賞金ランキングは99位で、シニアツアーでは同13位につけている。片山が欲しているのは宮本と同じ米シニアツアー、PGAツアー・チャンピオンズへのチケット。11月に米国3カ所で行われるQTファーストステージには出ず、今季の日本シニアツアー賞金ランキング4位以内に与えられる来年の「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の出場権、同10位以内の上位2名に与えられる「全英シニアオープン」の出場権獲得を目指している。

それだけに、シニアツアーの賞金ランキングを上げたいところだが、シニアを優先させれば25季連続で守ってきたレギュラーの賞金シードを喪失する可能性が高まる。ただし、片山はツアー通算25勝以上(31勝)の『永久シード』の資格を持つため、来年以降もレギュラーツアーには出場できる。

「賞金シードはいつかは途切れるわけだから、それがいつなの?って話。そこにこだわり出しちゃうと自分の次の夢に行けない。それとの戦いはちょっとあるよね」と割り切りつつも、賞金シードを守りたい気持ちもある。そして、「賞金シードで出てます。永久シードで出てます。出られることは同じ。2人がいて、本当のあなたの50歳からの夢は何なの?って。今までやっていたやつと最後に戦ってみたいってほうが強い」と、プライオリティーは米国シニアに向いている。

今後の決まっているレギュラーツアーは、次週の「日本オープン」と、シニアツアーの空き週となる「三井住友VISA太平洋マスターズ」のみ。それ以外のスケジュールはシニアツアーの賞金ランキングに左右されることになる。今週の日本プロシニアに優勝すれば、賞金ランキングは5位前後に上がる見込みで、レギュラーの試合が増える可能性もある。

「これが終わって賞金ランキングを見てから変わるかもしれない。来週の日本オープンだってちょっと難しいと予選は通るから、そこで上位に行けば」と、レギュラーの賞金シードもにらみながらの戦いが続く。片山が初めて賞金王を獲得した2000年は、残り4試合から3勝を挙げての大逆転だった。今年はシニアとレギュラーの両方でミラクルを起こすかもしれない。

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