キャディはツアープロの兄…きょうだいで戦う女子OP 小西瑞穂は最終プロテストも視野に「自分がどれくらいできるのか」

<日本女子オープン 初日◇28日◇芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)◇6528ヤード・パー72>

きょうだいで力を合わせ、「予報と全然違った」という強い雨、そして風のなかのラウンドを乗り切った。すでにツアーで活躍する実力者たちが上位にひしめくなか、今年のプロテスト合格を目指す25歳の小西瑞穂が、3アンダーの10位タイとそのなかに割って入った。
畑岡奈紗、勝みなみ、渋野日向子らと同じ1998年度生まれの黄金世代のひとりが、最終予選会を勝ち抜き2021年大会以来の出場になった「日本女子オープン」を戦っている。すでにアマチュア資格は放棄しているため、ツアーに組み込まれている試合で出られるチャンスがあるのはこの大会のみ。実際にツアー出場自体もその21年以来で、実に2年ぶりとなる。

そんな、貴重な機会を自らの力を測る“物差し”にしたいと考えている。「レベルが高いところ、ツアーで自分がどれくらいできるのかを知ることができるのが女子OPしかない。出られたこと自体いい経験になるし、緊張もするとは思う。ただ“プロテストの練習”というわけではないけど、そういうイメージで戦いたいです」。先週、広島で行われたプロテスト第2次予選は4位タイで通過し、10月31日~11月3日にJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)で開かれる最終行きも決めた。「落ち込んではないですね(笑)」。明るい気持ちで福井に入れた。

コース内で、その小西の隣に立ち、キャディとして支えるのは実の兄。ツアープロの健太だ。東北福祉大時代にナショナルチームメンバーとして長年活躍し、現在は国内男子ツアーを舞台にプレーしている。

今回、妹が高校3年時に出場した「日本女子アマ」以来となるタッグを結成。「兄も(今週のバンテリン東海クラシックの)マンデートーナメントに出ていたから、キャディをしてもらえるか分からなくて。落ちたからやってもらうのは微妙ですけど…」と“複雑な心境”もあるが、「やってもらったほうがもちろんいい。楽しみにしていたので」と心強い存在から力をもらっている。

「雨の中、兄と協力しながらミスも最小限に抑えられました」。断続的に襲ってくる暴風・暴雨のなか、一緒に風向きやラインを読みながらアンダーパー街道を進んだ。その兄は、日本一を争う舞台での妹のプレーについて「淡々とプレーしていました」と話し、目を細める。もちろん目指すのは、「明日も同じようなプレーをしてもらいたいですね。最終日にも妹がインタビューしてもらえるように」と、日曜日までいい位置でともに戦うことだ。

妹も兄と同じ東北福祉大出身で、男女の違いはあるがツアープロを目指すのも同じ道。大学4年時の20年に初めての受験になるはずだったプロテストが、新型コロナウイルスの影響で21年にずれこんだこともあった。そこから2年間(3度)挑戦を続け、うち2度は最終で涙をのんでいる。特に昨年は1打足らずの不合格だっただけに、“あと一歩”の思いは強い。拠点が広島県ということもあり、JFEに瀬戸内海は車で1時間ほどと、難なく通える距離。「練習ラウンドも行きやすいですね」。この大会が終わると、いよいよ本腰を入れて準備にとりかかる。

兄は妹のことを「1つのことをコツコツとやることができる」と評する。地道に一打一打を積み重ね、まずはいい位置で週末に向かいたい。妹もそれは承知。「ティショットをフェアウェイに置くことを意識。風が吹かなければ、フェアウェイに置くことができればピンも狙える。ボギーをたたかないよう丁寧に」。そう気持ちを引き締め、2日目も兄の力も借り“上”を目指す。(文・間宮輝憲)

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