休む勇気も時には必要 熱中症リスクを減らすためにも【原田香里のゴルフ未来会議】

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。もうすぐ10月。さすがに少しは涼しくなってきましたが、それでもまだ半袖は手放せない感じですね。

今年は5月頃からずっと話題になっていた熱中症。9月になってからも運動会の練習や体育の授業などで救急搬送される事例が少なくないようです。改めてチェックしてみたところ、9月2週目(11~17日)でも、1週間で2949人が全国で、救急搬送されたそうです。急に暑さがぶり返したこともあったようですが、この時期にしては記録を取り始めた2008年以降、最多だということです(消防庁調べ)。本当に秋? という感じですね。
 
熱中症については、何度もこのコラムでも触れてきました。JLPGAツアーでも、熱中症と思われる症状での欠場や途中棄権などがかなり出ていたようです。選手だけではなく、キャディさんや関係者も同様です。私が出場した「日本女子プロゴルフ選手権」でも、初日にベテランのツアーキャディ2人が“棄権”。それぞれ代わりの人がキャディを務めていました。
 
3日目が終わったあとには、優勝争いの真っただ中にある神谷そらさん、西郷真央さんの2人が「頭が痛い」と言っていたようです。最終日の最終組は、神谷さん、西郷さん、小祝さくらさんの3人。幸いなことに神谷さんも西郷さんも、翌日には回復して素晴らしいプレーを見せてくれましたが、場合によっては優勝争いをしている2人が棄権してしまう可能性もあったわけです。
 
優勝した神谷さんは「1度熱中症になってから、すぐ頭が痛くなるようになっていて」と言っていたと聞きます。7月末の「楽天スーパーレディース」で3日目スタート前に棄権した時からのことのようです。1度、熱中症になるとその後、かかりやすくなるという説もあるようです。今年の様に5月ごろから暑い日々の中、コースでプレーする選手、それを支えるキャディさんには、常にこうしたリスクが付きまといます。地球温暖化の渦中にある日本の現在の状況なのでしょう。
 
時には生命の危険にもつながる熱中症。屋外スポーツであるゴルフをしながら、これを避けるにはどうしたらいいのでしょうか。スケジュール調整やスタート時間など、ツアーとして、各大会として、できる限りの熱中症対策をすることは必要になりますね。
 
一方で、やはり自分の体は自分が管理するしかないというのも事実です。水分、塩分、糖分の補給、帽子や日傘の活用など、プレー中の対策はもちろんみんな行っています。それだけではなく、時には試合を休む決断も必要なのではないかと、私は思います。シーズン中、ほぼ毎週試合が開催されているのは本当にありがたいことです。私の個人的な意見ですが、そのことをわかった上で、やはり無理なスケジュールを組まず、休む勇気を持って欲しいのです。
 
アスリートは体が資本。休むことで試合カンが失われてしまうことや、休んでいる間に、周囲が結果を出してしまい、焦ってしまう。休むのに抵抗があるのは、選手の気持ちとして十分に理解できます。シード選手には出場義務試合数と言う縛りはありますし、QTや主催者推薦からの出場なら、少ないチャンスを生かしたい。リランキングのことも考えてしまう、という切実な問題もあるでしょう。
 
それでも、無理をして体調を崩すより、私は休むことを勧めます。出場するかどうかを決める権利は、選手本人にあるのは言うまでもありません。故障を悪化させるリスク同様、暑い中でのプレーで体調を悪化させることにもリスクがあると考えるべきです。年齢や経験を重ねれば、無理をしないで体調をしっかり整えることの大切さを、身をもって知るようになります。
 
ただ、体力のある若い選手は、無理ができてしまう上に、疲れていると自覚するのに時間がかかります。何度も言うようですが、常に自分の身体や心と向き合うことも大事な仕事の一つです。シーズンをしっかり戦い続けるためにも、時には休む勇気を持ってほしいと心から思います。

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