ゴルフ人生に悔いは残さない 腰痛から復帰2戦目の近藤智弘が大事にする「笑顔」のマインド

<パナソニックオープン 初日◇21日◇小野東洋ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7113ヤード・パー72>

先週の「ANAオープン」からツアー復帰した46歳の近藤智弘が、腰の持病と折り合いをつけながらの初日6アンダー・6位タイ発進と上々のスタートを決めた。
1番から初日をスタートした近藤は、2番パー5で幸先よくバーディ。4番ではこの日唯一のボギーを叩くが、その後は5番からの3連続を含む4つのバーディを奪って後半へ入る。10、14番と2つのパー4でもバーディとして、7バーディ・1ボギーの「66」。ベテランが気を吐いた。

プレーを終えると「きょうは上出来。歩くのはハードだったけどコース的には短いし、何となくこういうコースならやれるのかなって。ただちょっと疲れましたね。腰は大丈夫だったんですけど、からだ全体が疲れました」。ゆっくり歩く足取りからも、その疲労感が伝わる。

ここに至るまでは様々な対策もしてきた。「8月にだいぶ良くなったので復帰申請を出して、9月のANAオープンからと思ってやっていたんです。練習もなるべく歩くように、3ラウンド、4ラウンド続けて、ツアーみたいにやってみるとか、そういうシミュレーションをしてました」というように、まずは試合で18ホールを歩いて回ること自体がハードルだった。

「(復帰へ向けた取り組みで)初めの3週間くらいは『あっいけるな!』って思えるくらいに痛みも出ずによかったけど、9月にはいった頃から悪い日がちょっとずつでだして…。きょうは大丈夫でしたけど」。まだまだ不安を抱えながらのラウンドは続くが、第一の目標は完走すること。先週の試合でも雨によるサスペンデッドの影響で、1日34ホールのプレーを強いられさすがに堪えたというが、予選落ちこそしたもののしっかりとやり切ることができた。「ゴルフに集中したいけど、体のことが気になっちゃって…。だから、スコアがいいことがいちばんうれしい」と、初日の好スコアを心の底から喜ぶ。

「いろいろ(治療を)やってはいるけど、仕方のない部分はあるんです。年齢もあるので。だからきょうも年に1回くらいしか入らないようなロングパットが2つ(9番でグリーン段下から10メートル、13番は12メートル)入ったので、来年は入らんなって(笑)」

ここでやっと笑顔をみせた近藤だが、全力でプレーに向き合えない不安も明かす。「ゴルフに集中したいけど、練習したくてもやめておこうかとか、無理できないなって。その辺は上手く付き合っていかなきゃいけない。メンタルだけ折れないようにして」。ただ純粋にボールを打ちたい、練習したい…。でもそれができないもどかしさ。さらに、練習という裏打ちがないなかで戦う試合。プロゴルファーにとってこれほどまでにつらいことはない。

自身の試合に臨む心構え、マインドのあり方をあらためて考え直した。「あと何年やれるかわからないから、そう思うと楽しく、なるべく笑顔で回らなきゃいけないなって心がけています。今まではシードがあって当たり前で、出るのが(試合に)当たり前のように出ているけど、それが当たり前で終わっちゃって、あぁ、もう少し楽しんでおけば良かったなぁってならないようにしたい」。別に試合をあきらめているわけではない。悔いを残さないため、いまの状況をふまえてどうするか? その結果たどり着いた、近藤流の心の持ち方だ。

先週の覇者・谷原秀人は44歳。近藤は「ゴルフは年齢を重ねるほど怖さが先行してくる。みんなそうだと思うけど、谷原以外はね。あいつみたく、『ダイジョブっしょ』っていうのがないとね。アレが彼の見習うところ。昔から変わらないすごみっていうかね。そこをマネできたらいいなって思います」と、旧知の仲の男を引き合いに出す。体の調子と相談しながらのプレーは続くが、“笑顔で回って楽しむ”マインドで、2日目もスコアを伸ばす。(文・土屋裕一)

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