今さら?首都高「料金所スタッフ」を積極採用のナゾ あと3年で9割ETC専用化なのに

首都高速の子会社各社が、料金所スタッフの積極採用に乗り出しています。現金利用車の支払いを担当する料金収受などの仕事に従事します。ETC搭載車しか通行できない専用料金所が増える中、求人が必要になる“ナゼ”を追いました。

電車の中吊り、新聞折り込み広告でも

――安心も、やりがいも、自分の時間も。自分らしい働き方、首都高でかなえてみませんか――  こんな求人チラシが2023年9月に経済紙へ折り込まれました。募集職種は首都高の「料金所スタッフ」。料金所に常駐し、現金収受や誤進入の対応、ETCシステムの監視業務を行います。募集を行うのは業務をエリア別に担当する「西東京」「東東京」「神奈川」の3社です。親会社である首都高速が、この狙いを説明します。

「料金所スタッフの募集は継続的に実施していますが、ウェブサイトを一新。過去はやっていなかった求人募集活動を始めました。係員は引き続き確保が必要で、昨今の採用難もあるので力を入れています」(営業企画課) 折込広告だけではありません。首都高トールサービス各社の求人活動は、電車の中吊り広告や、駅張りポスターでも求人案内が掲出されます。目に見える採用活動に方針転換したのは2019年頃からです。「3日に1回の勤務で定期的な休みができると捉える人もいるので、この働き方が気に入っていただける人にはいいと思います。ただ、業務形態が特殊なこと、採用難などで採用が安定的にできていない。そこで求人広報に力を入れることになりました」(同) 料金所スタッフの勤務は朝8時~翌朝9時までの25時間制。1日目に出勤、2日目に退勤あけ休み、3日目が休日という3日に1回の勤務です。月10回程度のシフト制。1回の勤務で、実働17時間、休憩・仮眠8時間を料金所ブースの中で過ごします。1回のシフトで2~3人程度がチームになります。

2026年3月には約90%がETC専用料金所になるが…

 首都高速でETCサービスがはじまったのは2001年のことでした。2023年6月時点で通行車両のETC利用率は98.2%(国交省まとめ)にまで上昇し、180ある料金所のうち35か所は、ETC搭載車しか利用できない専用料金所になっています。 国も料金所のETC専用化ロードマップを示していますが、首都高速は2026年3月末までに全体の90%を専用化する予定です。また2030年度には全線を専用化するゴールも定めています。

いまの“料金所の仕事”とは?

 首都高速のETC利用率はNEXCO系高速道路と比較しても高く、料金所収受員が現金を受け取る機会は、急速に減っていくことが予測されます。そんな中で目に見える料金所スタッフ募集に乗り出した背景には、どんなことがあったのでしょうか。 そもそもETCは通行料金収受コストの一部を利用車が負担します。導入当時、料金所渋滞の解消やCO2削減による環境改善が主な導入効果とされてきましたが、その効果と並んで掲げられていたのが、高速道路の建設費や高速道路会社の管理費削減が可能になる、ということでした。「(料金所のETC専用化は)まだ始まったばかり。間違って入ってくる現金車への対応が必要で、監視業務のような形でスタッフが残っている。まだ、(スタッフの)自然減などを計画的に埋めていかなければならない段階です。専用化が拡大していけば、人員は徐々には減っていくことは想定しています」

 首都高速は、ETC車と現金車の併用レーン、ETC専用の2本レーンで1つの料金所が構成されることが多く、料金所をETC専用化しても人員の削減効果が限定的なことが当初から指摘されていました。複数のレーンの大半をETC専用にして、少ないスタッフで料金所を管理するNEXCO系高速道路のような効果が見込めないのです。 そうした違いがあるとはいえ、国は大都市圏からETC専用化を順次拡大し、2030年度頃にはNEXCO系高速道路の地方部も含めて全線に広げる方針を示しています。まだ先ではあるものの、ETC専用化による経費削減効果が利用者にわかりやすく示されることが必要です。高齢者の就労が支える料金所の運営が、最終章に差し掛かっています。

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