米国はゴーサイン! アルゼンチンへのF-16導入あと一歩 ただし経済状況はヤバすぎる!!

アルゼンチンのF-16戦闘機の導入が現実味を帯びています。アメリカからデンマーク空軍のF-16を売却する許可を得ており、後はアルゼンチン側の署名のみとのこと。しかし、購入までには難題が控えています。

米国は既にF-16の売却を許可

 2023年9月に入ってから、アルゼンチン空軍へのF-16売却が現実味を帯びてきています。現地メディアによると、デンマーク空軍で退役予定である中古のF-16を購入することをアメリカが2023年7月末に許可しており、あとは、アルゼンチンのサンティアゴ・カフィエロ外務・通商・宗務省と、ゴホルヘ・タイアナ国防省の署名を待つのみになっているようです。

 デンマーク空軍のF-16はウクライナへの供与も決まっていますが、同空軍は43機の保有機のうち19機を引き渡す予定で、ウクライナへはほかにオランダやノルウェーからもF-16が供給される予定となっています。 アルゼンチンが購入する機体は、計24機となる予定で、F-16ブロック10を6機、F-16ブロック15を18機、その中には複座式のF-16BMが6機含まれるようです。購入費用は保守・整備などに必要な部品も含め約3億4000万ドル(約500億円)とのこと。この契約が実現すれば、2015年にフランス製の「ミラージュIII」戦闘機が退役して以降、超音速戦闘機がゼロになっていたアルゼンチン軍の状態が劇的に改善します。

懸念の英国製部品はなし だか!!

 同国空軍がなかなか超音速の戦闘機を購入できなかった背景としては、フォークランド紛争以降、イギリスから国家の安全保障に関わる部品の輸出を禁止する制裁を受けていることが強く影響しています。これまで候補にあがった戦闘機であるスウェーデン製の「グリペン」、インド製の「テジャス」、中国とパキスタンの共同開発であるJF-17はいずれもイギリスのマーチンベイカー製の射出座席が使われており、購入できませんでした。 デンマーク軍のF-16に関しては、アメリカ政府が事前に「イギリスからの輸出許可が必要な部品はない」と明言しており、交渉が進めば一番有力な候補だとみられていました。アメリカは、中国がアルゼンチンに対しJF-17の射出座席を自国の製品で代用する案を出したことを受け、アルゼンチンのF-16供給へ大きく傾きました。南米はアメリカの安全保障上において重要な地であり、そのなかでもアルゼンチンは非NATO系では主要な同盟国のひとつです。

 しかし、アメリカ側の問題が払しょくされたとはいえ、まだアルゼンチン政府に重大な懸念事項が残っています。それは“カネ”、つまり防衛予算関連の問題です。同国は慢性的な不況に陥っているうえ、2023年に入ってから大規模な干ばつがインフレに追い打ちをかけています。物価上昇率は100%を超えているともいわれているほど。そのため、アルゼンチン国防省や空軍も大幅な予算不足になっているのです。 地元メディアによると、F-16購入に向けての資金調達は年内には行われず、2024年から開始される可能性も指摘されています。なお、アルゼンチンでは2023年10月に大統領選と上院下院両院の総選挙が控えています。資金の問題だけでなく、政局の変化などでもまだ、F-16の購入計画は変更される可能性があります。

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