【益若つばさ×舟山久美子/前編】“伝説のギャル”が初対談 読モ時代のリアル・文化の変遷・徹底した自己プロデュースまで本音トーク

【モデルプレス=2023/09/16】90年代半ばから盛り上がりを見せたギャルブーム。渋谷がギャルの聖地となり、アムラーやガングロメイクなど個性的なファッションで注目を集め、社会現象となった。あれから約20年、令和のいまギャルブームが再燃している。2024年度後期のNHK連続テレビ小説「おむすび」では、異例の平成のギャルが主人公となり、物語が描かれる。

今回、モデルプレスでは“平成ギャル”として一斉を風靡した、益若つばさ(ますわか・つばさ/37)と舟山久美子(ふなやま・くみこ/32)の初対談が実現。「Popteen」時代の本音からギャル文化の変化までたっぷりと語ってもらった。<モデルプレスインタビュー前編>

【写真】益若つばさ「別人」金髪ギャル時代ショット

◆「Popteen」時代の本音 モデルだと思っていなかった理由

― 「Popteen」の読者モデルとして一線で活躍していたお2人ですが、活動時期は被っていないとのことで、当時互いの活躍する姿を見てどんな印象を抱いていましたか?

舟山:私はつばさちゃんが出演している雑誌を見ていた世代なのですが、つばさちゃんは読者モデルという立ち位置を作り上げてくれたすごいお方です。そこから私たちの世代に引き継がれていく流れでしたので、本当に憧れの先輩です。読者モデルをしていた当時はお会いする機会がなかったので、雑誌の中の人という感覚でした。

益若:「Popteen」の読者モデルって傍から見たら専属モデルに見えるくらい誌面に出させていただけるのですが、私たちからすると専属モデルと読者モデルは、雲泥の差があると自分たちの中で感じており、読者モデルという扱いは、自分の中でモデルではないとずっと思っていました。「Popteen」は、スタイリストやメイクさんがおり、読者モデルでもやっていることはモデルさんと同じですが、それプラス自己プロデュースをしないと誌面に載ることが出来なかったんです。

私の中で読者モデルと専属モデルの合間が「Popteen」モデルという認識で、その中で葛藤し、どうしたら自分らしさを出して憧れのモデルの様な存在になれるか研究をしていたのが私たちの世代のモデルでした。まさか読者モデルが社会現象になるとは、全く思いませんでしたし、今でも私たちはモデルではないと思っています。

舟山:私も同じ考えです。「Popteen」で有名になるとテレビに出演出来る流れがありますが、テレビに出演すると周りからは芸能人として見られます。でも、芸能人としての扱いを受けてもマインドは変わってないので、そこに対して葛藤がありました。

益若:私に経済効果があると世間の方が言ってくださった時に、読者モデルという存在の価値が変に上がってしまったんです。今まではそんな感じの扱いじゃなかったんですよ。正直「所詮読モでしょ」と言われ続けていて、私自身も身長が150cmですし、それがコンプレックスでした。どんどん影響力が大きくなっていってしまう嬉しさとやりがい、そして葛藤がありました。

そして、私が「Popteen」を卒業した後にくみっきーが加入して、周囲の大人から「これは経済が回る」と読者モデルの影響力に期待をされる中、引き継いだのがくみっきーでした。見るからにとても大変な時に加入したと思っていて、世間に「読者モデルって売れるんでしょ?」「経済効果があるんでしょ?」「人気なんでしょ?」と期待されながら、揉まれている印象でした。私たちの世代は、売れるなんて思ってもいなくて毎日学校みたいで「撮影に呼ばれるだけで凄くない?遅刻しないで偉い!いぇい!」みたいなノリでした。

◆SNSの普及で変化した読者モデルとギャル文化

― 「Popteen」の読者モデルとして一線を走り続けていたと思うのですが、プレッシャーなども大きかったのでは?

益若:私は全く無かったです。期待もされていないですし、自分にも期待していなかったので、早く結婚して「Popteen」モデル卒業したいな~って(笑)

舟山:あはは(笑)

益若:結婚して卒業が当時の「Popteen」モデルの夢だったんです(笑)青春っぽい遊びの延長だった読者モデルがお仕事になったのはくみっきーの時代からで、下の子はとても感覚が真面目になったように感じました。責任感や言葉で世間が動いてしまう影響力が生まれたので、くみっきーの時代と私の時代には壁があり、くみっきーの時代のマインドを受け継いでいるのが藤田ニコルやみちょぱだと思います。

舟山:たしかにそうかもしれないです。

益若:だって渋谷で遊ばなかったでしょ?

舟山:遊ばなかったです。当時「写真撮ってください」と声をかけていただいて写真を撮ったのですが、撮影した場所がたまたま少し薄暗い所だっただけで「Popteen」の雑誌社に「こんな場所に居ていいんですか?」と連絡があったんです…。私は写真に応じただけでしたが、だんだんと迷惑をかけちゃいけないと感じるようになり、遊ばなくなりました。

益若:私たちの時は、逆にクラブに行くお仕事があったりして、テキーラを持っている人と写真を撮っていました(笑)カラオケでお酒を飲むこともありましたし、それが当たり前の文化でした。私自身、ワイワイしたりお酒の場に行ったりすることが苦手でしたがこれらも含めてギャルマインドとして大事だと思っていました。

舟山:私たちの世代はワイワイするギャル文化を続けているとクレームが入るようになり、どんどんいい子にならざるを得ない状況になりましたね。多くのものを背負っている感覚はありながらも、結局芯の部分は変わってないじゃないですかね。いいものを届けたい、可愛いものを友達にシェアしたい…そんなコミュニティの濃さが、ギャルの中にはあると思うのでギャルマインドは変わっていませんが、段々と変化していきました。

― SNSの普及も大きく関係しているかもしれませんね。

益若:そうですね。私の世代は、ブログ文化の先駆けでした。たまにブログのコメント欄で攻撃的な方は来るけど、どこかで目撃をされても書かれないですし、噂をする場所もない。掲示板でも悪口やバッシングはありましたが、見に行かなければ済む世界でした。Twitterができ始めてからリアルタイムな目撃情報が上がるようになりましたね。

雑誌は、1ヶ月前の話が翌月読者の方に届くという流れでしたが、今は情報がリアルタイムで追えるようになりました。私たち読者モデルは、限りなく読者に近い存在でありながらも、どこか遠い存在で、テレビにも出ていなかったですし、声もどんな声かわからない、空想の存在のような部分がありました。時代を経て、段々と親近感が大切になっていき、にこるんの世代はSNSの密な関係が重要になりましたね。読者アンケートで1位にしてくださいと呼びかけるとか…。

舟山:私の世代もありましたよ!毎月順位やファンレターの数を編集部に張り出されて(笑)

益若:えー!?

舟山:毎月行う私服企画で個人のページがあるのですが、順位順に掲載されるので、読者からも誰が人気かリアルにわかるので、当時はピリついていました。

益若:私たちの世代にはありませんでした。おそらく私が卒業した後にAKB48さんが流行り、総選挙ブームが起きた時に、雑誌界でも争う文化が生まれましたね。

◆「Popteen」出身モデルが長く愛される理由

― 厳しい世界で活動されてきた「Popteen」出身のモデルが卒業後も長く愛される理由がわかった気がします。

舟山:自己プロデュースが本当に大事でしたね。

益若:自分でプロデュースしないと大人たちにどんどんキャラを作られましたね。私は、一人称が「私」だったのですが、テンション的に「うち」と話したことにされていたり、語尾にビックリマーク「!」が入ったりしていました。活字にすると少し強く見えてしまうのか、はっちゃけた怖いギャルという印象を持たれることが多かったです。

舟山:私も強いイメージを持っていました(笑)

益若:だよね(笑)菅野結以ちゃんは、私と反対になんでもハートマークを語尾に付けられていて「ぶりっ子しているように見られちゃうんだよね」と話していました(笑)

舟山:私も「くみは~」という感じでニョロニョロ(~)を多用されていました。あと「ぴよ」とか見出しにされることが多くて(笑)

益若:「~だっちゃ!」もなかった?

舟山:そうそう!恥ずかしいです(笑)ふざけて言っているようなタイトルになっていることも多く、出ている側の私達にも予想ができませんでした。

益若:でも、今思うと雑誌がキャラクター作りしてくれたおかげで担当がわかりやすく読者の皆さんに覚えてもらえる様になったのかなと。当時、全くコンプラがなかったので、よくもあり悪くもあり良い意味でキャラ設定をしてくださりました。今でも、強くて言い切るみたいなキャラクター性を求められることが多く、そのキャラクターに変えてプライベートの自分と益若つばさの時の自分を分ける様になんとなく意識しています。

舟山:つばさちゃんと初めてお会いしたのがプライベートでしたので、リアルなつばさちゃんとお会いした時に静かな落ち着いたお姉さんっていう印象を受けました。

益若:人によってはびっくりされるのですが、実は意外とパーティー系も行かずお酒もほとんど飲まないんです。外出も普段あまりしなくて、お家でご飯を作り、お友達を呼ぶのが好きです。雑誌の印象だと、海が好きで渋谷で友達とはっちゃける印象を持たれがちでした。でも、そういうのも憧れではあり、当時はプライベートも含めてこれが渋谷のギャルなんだ!という意識があり、全力で染まっていましたが、今振り返るとそんな自分も青春として最高に楽しかったです。撮影が終わり、渋谷に行くと必ず友達がいるという文化がとても好きで、ギャルに慣れている感じがかっこよくない?と思っていました(笑)

「Popteen」を卒業した後、くみっきーとプライベートであった時に「撮影終わったら渋谷で遊ぶの?」と聞いたら「いや、次の日の撮影に支障をきたすので、お家に帰ってゆっくりお風呂に入ります」と答えて偉いなと思いました。

舟山:撮影終わりは半身浴していました(笑)

◆「Popteen」は修業の場 理由明かす

― お話を伺っていると、同じく「Popteen」モデルとして活躍されていた藤田ニコルさんや鈴木奈々さんの世代と比べるとかなり違いがありそうですね。

益若:にこるん(藤田ニコル)もなーちゃん(鈴木奈々)も各々真面目な印象ですし、私もくみっきーも当時のモデル界の中では1番真面目な方だったと思います。「Popteen」モデルは、全員真面目なんですよね。

舟山:真面目さの中にも責任感がありますよね。

益若:時代によって各々真面目さが違う。POPモデルのやってきたことは、今も昔も一緒で修行みたいな場でした。

― 修行だと感じた理由は?

益若:とても厳しい世界なのです。ただの読者モデルですが、普通の専属モデルと違い、ヘアメイクやコーデ組、自己プロデュースや体型管理ができていないとダメでしたね。

舟山:太ったのが原因で撮影に呼ばれなくなることもありました。

益若:そうそう、モデルによっては休業期間を設けられてダイエットしなきゃいけないなど結構厳しかったです。礼儀もしっかりしてないと注意されましたし、私の時はそこまで厳しくはありませんでしたが、なんとなく暗黙のルールがありました。

舟山:体育会系の部活動のようでした。ですが、ギャル雑誌じゃないモデルさんたちと話をするとこういう暗黙のルールは無いって聞きます。

― 他にギャル雑誌と普通のファッション誌のモデルの違いはありますか?

益若:雑誌の企画を編集部の人と夜な夜な電話して一緒に作るなどしていました。私、日サロで働いていたんですけど…。

舟山:私も日サロでバイトしてました(笑)

益若:バイト中に「店長すみません、少しだけ取材の電話をしていいですか?」と許可をとって企画会議に参加している時もありました。編集部の人が8人位いるので、それぞれから電話がかかってくることもあり、今ハマっているものを会話しながら皆で雑誌を作り上げていましたね。ギャル雑誌は、当時から裏方もやる文化でしたので、卒業した後もバラエティやプロデュース業で活躍出来るのだと思います。

舟山:甘えが許されなかったですね。全てが誌面に出るので。

益若:態度が悪かったら、態度がそのまま雑誌に出ます(笑)

― 当時の雑誌は、良い意味でも悪い意味でも等身大の姿が誌面に出ていたのですね。

益若:そうです、翌月誌面を見て己を知るみたいな…。写真を見てめっちゃブスじゃんと思うこともありました。私たちはフィルム写真の時代で、修正も全くなしの撮って出しでメイクが上手かったりコンディションを整えないとダメ。写真は、実物よりブスに写るからブログのコメントで指摘されることも多く、もっと可愛くならなきゃという葛藤がありました。デジタルではないので修正で直す概念もなかったので、元を可愛くしないと生き残れないと思い、当時は自分と向き合うことがすごく多かったです。

舟山:私も表も裏もなく、ありのままの自分で活動していました。

益若:彼氏に浮気されたら浮気された話もしましたし、別れたらその話もしましたし、事務所通してくださいとかNGも一切なし。身長、体重、目の大きさ、顔の長さ…全てをさらけ出すことが読者の方にウケていました。今のリアルは、正直リアルかわからないですよね、虚像な部分もあってSNSで新たな自分で作り上げる事ができ、そこが良さでもある。当時は、私たちのリアルを大人の方が切り取り、選ぶ権利もなく表に出ていく感じでした。

★“ギャルマインド”や夢を叶える秘訣を語った後編も公開中。

(modelpress編集部)

◆益若つばさ(ますわか・つばさ)プロフィール

1985年10月13日生まれ、埼玉県出身。17歳で雑誌の街角スナップに紹介されたのをきっかけに「Popteen」の読者モデルとして活躍。彼女が身につけるファッションアイテムが飛ぶように売れ「つばさ売れ」という言葉が生まれ、当時彼女の経済効果は100億円を超えるとも言われていた。美容やアパレル商品など様々な商品のプロデュースを行うほか、バラエティ番組などにも出演している。

◆舟山久美子(ふなやま・くみこ)プロフィール

1991年4月29日生まれ、東京都出身。17歳のときに渋谷でスカウトされモデルデビュー。雑誌「Popteen」の専属モデルを務め、連続表紙起用は17回(2009年3月号~2010年7月号)、通算表紙起用は37回を記録。“ギャルの神様”として人気を集めた。現在はテレビなどでタレントとして活動する一方で、会社を経営するなど積極的に取り組んでいる。

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