
<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 初日◇15日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6534ヤード・パー72>
腰のヘルニア摘出手術のためツアーを3カ月休み、8月に復帰した原英莉花。ツアーに戻ってからの5戦はすべて予選を突破し、3週前の「ニトリレディス」では9位タイにも入っているが、南愛知戦恒例のドライビングコンテストを見送ることにした。
いまの状態を簡単に説明すると「飛ばないもん(笑)」と、まだ復帰間もないなかで、以前のような豪快なドライバーショットは影を潜めている。「245くらいです」と、以前よりもキャリーが10ヤード以上は落ちているというが、これは決して悲観するものではない。むしろ、順調に回復しているからこそ、今回のドラコンも見合わせたと言える。
「飛ばしの踏み込みみたいなものがたぶんまだハマっていなくて、爆発的には飛ばないです」と長期休養後は、まだスイングを取り戻している段階。「このホールで飛ばしたいなと思ってエンジンを入れても、まだ飛んでないから、ムリしても意味がないかなと」。これまでも、力んで飛ばそうと思ったことはないが、ここぞというときの飛距離は原のらしさだった。「平然とゴルフをしているだけなので、つまらないですよ」と飛距離が出ないことについては多少の不満もありそうだが、そこがいまやるべきことではない。
術後はトレーニングもできなかった状態。「筋肉も落ちていた。それを1カ月で取り戻すのは厳しかったので、そこは徐々に、長い目で見ていきます」と焦りもなし。来月には来季の米国女子ツアー出場権をかけた予選会の2次に挑戦。そこに向けては、まずは総合的に以前の状態に戻しながら、その結果としてスイングの力が戻ってくれば、自然と飛距離も復活するとふんでいる。
「いつかエンジンをかけられると思うんですけど、今はまだエンジンが弱い」とフル回転のための土台を作っている段階。「日々の積み重ねを大きくしないといけない」と、ムリに振ることもなく、じっくりと仕上げていく構え。2019年は「253.33」ヤードで4位、20-21年シーズンは「257.26」ヤードで1位、昨年は「255.24」ヤードで3位と、ドライビングディスタンスでトップ5を外したことのない原。今の状態でも決して飛ばないわけではないが…、本人も納得の豪打が戻るまで気長に待つとしよう。(文・高桑均)