北陸新幹線延伸で「大幅縮小」の在来線特急どうなる? “宝の持ち腐れ”になる車両たちの行く末

ついに2024年3月16日と決まった北陸新幹線の金沢~敦賀間延伸開業。これにあわせて、並行する在来線特急が廃止されます。これによって「宝の持ち腐れ」になる設備が発生しそうです。

「サンダーバード」「しらさぎ」は直流電化区間のみに

 JR西日本は2023年8月30日(水)、来年3月の北陸新幹線の金沢~敦賀間延伸開業にあわせて、並行する在来線特急を廃止すると発表しました。大阪~金沢・和倉温泉をむすぶ特急「サンダーバード」は大阪~敦賀に、名古屋~金沢を結ぶ特急「しらさぎ」も敦賀までに、それぞれ短縮される予定です。

 北陸新幹線の敦賀延伸後、「サンダーバード」や「しらさぎ」は、これまでよりも走行距離が大幅に短くなり、新幹線へのアクセス特急に変わることになります。  これら特急では、交流と直流の両方の電気に対応したJR西日本の681系、683系特急形電車が使われており、走行中に交直流の切替えが可能な機器を装備しています。 北陸本線の特急の運行区間は、敦賀~金沢が交流電化、それ以外が直流電化となります。ただ、新幹線開業後は敦賀~金沢間の特急列車は廃止されるため、大阪・名古屋から敦賀までの運転であれば、必ずしも交直流電車を使用する必要は無くなります。せっかく装備した交直流の切替え機器を使用する場所が無くなるのです。  現在、「しらさぎ」にはJR西日本の車両が使用されていますが、直流電化区間のみの運行であれば、JR東海の特急車両で運行することも可能になります。また、「サンダーバード」も681系や683系以外の車両が使えるようになるため、SNSでは「敦賀~関西空港を結ぶ直通特急を走らせてほしい」といった声もあがっています。  JR西日本は「『しらさぎ』や『サンダーバード』は来年3月以降も引き続き、現在と同じ車両を使用する予定です」(コーポレートコミュニケーション部)としています。

過去には特急車両を「直流専用」に改造も

 2015年3月の北陸新幹線金沢開業の際は、「しらさぎ」の金沢以東の運行区間が廃止され、余剰になった683系が直流電化区間専用の289系に改造。特急「くろしお」「こうのとり」などに転属しています。  来春の新幹線敦賀開業後も、特急の走行距離が短縮されることから、車両に余剰が発生する可能性があります。JR西日本は新幹線開業後の681系、683系の動向について「現時点で未定」としています。交直流の切替え機器を使用しなくなる車両を、直流専用に改造するかどうかは決まっていないそうです。  ちなみに、新幹線開業も金沢と和倉温泉を結ぶ特急「能登かがり火」は残る予定。同列車が走行する七尾線は直流電化で、津端~中津幡間で交流から直流に切り替わるため、こちらは引き続き交直流電車が必要になります。JR西日本によると、回送列車では引き続き敦賀~金沢間を683系などの特急車両が走行する可能性はあるとしています。

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