「ジャンボ」747は死なず! 国内唯一の保有会社パイロットが語る特徴とは? 「実は速いんです」

「ジャンボ」と呼ばれ、かつて多くの航空会社が使用していたボーイング747。現在も同型機を主力にしているのが、貨物専用航空会社のNCAです。同社のパイロットは747をどう見ているのでしょうか。

747-8の「ローンチカスタマー」であるNCA

「ジャンボ機」と呼ばれ、かつて多くの航空会社が使用していたボーイング747。現在は旅客型の多くが退役していますが、国内で唯一747を保有する航空会社がNCA(日本貨物航空)です。実は747は貨物機としては今も多く使用されています。同社のパイロットから見て「ジャンボ」こと747にはどのような特徴があるのでしょうか。

 NCAでは、2023年現在、ボーイング747シリーズの最終派生貨物型である「747-8F」を8機体制で運用しています。同社は創業当初から一貫して747シリーズを使用しており、この747-8は、開発の後ろ盾となる初期発注者「ローンチカスタマー」として2012年7月に初号機を受領しました。 NCAの747-8は最大133tの積載量をもっており、2階席(アッパーデッキ)に操縦室、客室、そして1階席(メインデッキ)全域が貨物室となっています。また、機首先端は上部に開く「ノーズカーゴドア」となっていることから、ほかの貨物専用機では対応できないような長尺の貨物も積み込むことができます。 そのような747シリーズをNCAのパイロットは「なんといっても最大の特徴はエンジンが4つあり、大型であることでしょう」とし、「現代の飛行機はエンジンが2発の『双発機』が多いなかで、たとえば747では、エンジンが1つ壊れてしまったとしても、残りは3つあります。なにかひとつシステムが不具合をきたしてしまっても、ほかのものでバックアップできる、冗長性(リダンダンシー)の高さが特徴です」と話します。

747の操縦や強み、どんなところ?

 佐藤機長によると、747の操縦は「大型機の特徴が色濃く出ている」ものだそう。「大型ゆえに慣性がとても大きいので、操縦操作もインプット(操作)を行ったら、アウトプット(操作後の自機の挙動)をしっかり見て、ひとつひとつ操作をこなしていくことがポイントです。私も過去に訓練で、『飛行機の挙動が暴れるのは、自分で暴れさせているからだ』といわれたこともあり、無駄で大きな操作をしないようにしています。また、私は747は、ゆったりした特性をもつ飛行機だと思います」。

「747、しかも空荷の状態と満載の状態でフライトさせることがあるので、いろいろなウエイト(積載重量)のなか、離陸着陸を行わなければいけません。そこはテクニックが必要かもしれませんね」とのこと。 そして佐藤機長には、747の操縦において「常々感じる」という強みがあるのだとか。「747は大きい飛行機であると同時に、速いんです。巡航中も前を飛んでいる飛行機を追い抜くことができることもしばしばあり、そのときには少し優越感を感じますね」。747-8の巡航速度はマッハ 0.85(910km/h)であり、767貨物型のマッハ0.8、777貨物型のマッハ0.84を上回るスピードとなっています。「747は『ジャンボ機』としてみんなが知っている飛行機ですし、見た目も美しくカッコイイ、そして速い、誰もが憧れる飛行機なのではないかと考えています」(佐藤機長)

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