ヘリのお尻のプロペラは何のために存在? “タケコプター”の再現は悲惨な結果に そのワケは

ヘリコプターを見ると、大きなプロペラ(ローター)とは別に、後部にも小さいプロペラがついていることが多いです。この装備はヘリコプターを飛ばすためにはなくてはならない装備になっています。

現実にタケコプターを使用した場合自分が回転する

 ヘリコプターを見ると、大きなプロペラ(ローター)とは別に、胴体後部や水平尾翼部分に小さいローターがついていることが多いです。実はこのローター、ヘリコプターを飛ばすためになくてはならない装備なのです。

 ヘリコプターの機体中央にある、大きなメインローターが機体を空中に持ち上げる原理は、基本的におもちゃの竹トンボが飛ぶのと同じ原理です。ローターが回転することで、浮く力である揚力を生み出しています。しかし、揚力を生み出すローターがひとつだけだと大きな問題が発生します。機体そのものも回転してしまうのです。 竹トンボの場合、手で軸をねじることで羽が空気とぶつかり、揚力を生み出しています。この際、軸も回転していることが確認できると思います。竹トンボならばこれで問題がないのですが、ヘリコプターはエンジンやモーターで作りだしたエネルギーで飛んでいるので、「作用反作用の法則」というものが働き、機体にはメインローターと逆方向に回転する力が働いてしまいます。 現在30代~40代の方は、記憶に残っている人もいるかもしれませんが作家の柳田理科雄さんが書いた『空想科学読本』シリーズで『ドラえもん』の「タケコプター」を検証した際に、この作用反作用の法則が解説されており、現在はWEBでも公開されています。 現在の技術でドラえもんをローターひとつで飛ばすためには、直径2mのローターが必要になりますが、作用反作用の法則があるため、物体に力を加えればその力が自分に返ってきます。そのため、ローターが毎秒47回転するうちに、ドラえもんが逆方向に毎秒4.7回転して目を回してしまうという結論になっています。これと同じ状況がヘリコプターにも起きてしまうのです。 そこで「テールローター」の出番です。このローターはメインローターが生み出した推力で、機体から回転しようとする方向と逆向きに推力を働かせており、回転する力を打ち消し回転せず浮くように設計されています。そのため、何らかのトラブルでテールローターが動かなくなると、機体そのものが回転し操縦不能になり、パイロットが適切な対応をしないと最悪の場合、墜落してしまいます。

必ずしもお尻に必要という訳ではない

 実は後部にローターをつける以外の方法でもちゃんと飛ばすことができます。現在運用されているものは、大ざっぱに分けて「ノーター式」「タンデム式」「二重反転式」「交差双ローター式」などの種類があります。ノーター式は「ノー・テールローター」の略で、ローターの代わりになる推力として空気などを吹き出す形式です。「タンデム式」「二重反転式」「交差双ローター式」の3種は、ローターを時計回りに回転するものと反時計回りになるもののふたつを用意し、お互いの力を打ち消し合うことで胴体が回転しようとするのを防ぐものです。配置が前後だと「タンデム」、上下だと「二重反転」、左右で交差する形式だと「交差双ローター」になります。

 これらのタイプは軍用機で目にすることも多く、タンデム式では自衛隊でも運用されているCH-47「チヌーク」輸送ヘリ、二重反転式はKa-27、Ka-50といったロシア製軍用ヘリで採用されています。交差双ローター式に関しては、最近は採用している機体が少ないですが、冷戦期の1950年代にアメリカのカマンが開発したH-43「ハスキー」が1970年代前半まで使われていました。 これらの形式に加え、最近ドローンや空飛ぶクルマで「マルチコプター」も増えています。この形式は4セット以上のローターを使い、隣り合っているプロペラを逆向きに回転させることで飛行しています。

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