坂道で見る“謎のドーナツ模様”なんのため? 白い舗装ばかり納得の理由 作り方はだいぶアナログ!

急な坂道では、ドーナツ形の凹みがついたコンクリートの舗装が多くみられます。アスファルト舗装にはなくコンクリート舗装でのみ施工される理由や、丸い凹みの作り方について施工業者に聞きました。

急坂にアスファルトを舗装するのは困難

 一般的な都市部の道路はアスファルト舗装が多用されていますが、急な坂道や地下駐車場の傾斜した通路などでは、コンクリートを用いた舗装である場合も多く見られます。また、急な坂道ではコンクリートの路面にドーナツ形の凹みがつけられていることもあります。あれは何なのでしょうか。

 一般的にコンクリート舗装はアスファルトよりも耐久性が高いぶん、コストも高いとされます。なぜ急な坂道にコンクリート舗装が多く用いられているのか。実はコストや耐久性の観点だけでもなさそうです。 舗装を多く手掛ける都内の建設会社によると、一般的なアスファルト舗装を施工する場合、材料を敷きならした後にローラーで材料を締め固めて仕上げるのですが、勾配が大きくなると、その締め固め作業が困難になるのだそう。そのため、勾配が急な坂道ではコンクリート舗装の採用が増えるとのことでした。 では、坂道のコンクリート舗装についている、円型の凹みは何のためのものでしょうか。これは歩行者や自動車、自転車などが坂道でスリップしないための、すべり止めとして設置してあるのだそう。円形な理由については不明であるものの、昔から「O(オー)リング」と呼ばれるドーナツ形のゴム製リングを用いて施工しているとのことでした。 あのOリングは、意外とアナログなやり方で作られているようです。 所定の場所にコンクリートをならし、締め固めたのち、左官職人が表面を平滑に仕上げる際に、直径14cmぐらいの「Oリング」を規則正しく配置していくのだそう。コンクリートの養生後、表面仕上げを行って「Oリング」を手で取り除くことで、ドーナツ状の溝を刻んでいるそうです。 こうしたコンクリート舗装の坂は、長期の耐久性もおいてアスファルト舗装よりも優れているとのこと。しかし、建設後のメンテナンスも含めたライフサイクルコストを考慮すると、一概にどちらが優位とはいえないとのことでした。 なお、コンクリート舗装のすべり止めは、ドーナツ形の凹みを付ける以外にも、大きなはけでコンクリート表面に「ほうき目」と呼ばれる筋をつける方法や、専用の機械で「グルービング」と呼ばれる細い溝を一定間隔で設置する方法もあるとか。急な坂道で大きなすべり止め効果を持たせたい場所では「Oリング」や「グルービング」が採用されている模様です。

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