粘って耐えて出た夕暮れ時のガッツポーズ 星野陸也が強風のコースで発揮した“欧州式”

<ISPS HANDA・ワールド招待 初日◇17日◇ガルゴルム・キャッスルGC、キャッスルロックGC(北アイルランド)◇7151ヤード・パー70、6859ヤード・パー71>

さっきまで吹いていたのに、打った瞬間止まる。アゲンストかと思えば、次はフォローが吹く。そんな気まぐれな風が選手を苦しめた初日のガルゴルム・キャッスルGCで、星野陸也が価値ある“1アンダー”を記録した。粘って、耐えて、最後にご褒美がやってきた。
最終9番を迎えた時、すでに時刻は午後7時に差し掛かろうとしていた。ラストプレーはピン手前8メートルからのバーディパット。上って下ってスライスラインという、寄せられればOKともいえる状況だ。しかし見事にそれがカップイン。両手でガッツポーズを繰り出しながら、大きく体をのけぞらせた。「ずっとガマンして最後にバーディ。『こういうのが入るのか〜』って、いつもゴルフをしながら思いますよね(笑)」。これでアンダーグループの仲間入りをし、23位タイと上々の滑り出しを切った。
 
前半は出入りも激しく2バーディ・2ボギーで折り返し。18番のパー5では2オンしながら、3パットのパーと、取りこぼした感も否めなかった。「グリーンのスピードが想像以上に出ている感じがあった。18番は上りだったので狙いにいったら…」と本人も悔やむ場面だ。直後の1番ではグリーン上で素振りを繰り返し、ストロークを細かくチェック。さらに短いパーパットでも慎重にラインを読んで沈める姿があった。「いつもはもっとカサカサしているイメージだけど、このコースのベントは日本に近くて、出球の感覚が違っていた」。こんな言葉からは“欧州基準”に馴染み始めていることもうかがえる。
 
2番では大ピンチも訪れた。ティショットが風の影響で左バンカーに入ると、続くウェッジショットがグリーンを大きくオーバー。「セカンドは上空がアゲンストだったので、ウェッジで完璧に打てたと思ったら風が止まってしまって」。ショートサイドからのその後のアプローチも寄せきれず、パーパットは5メートルも残った。しかしそれをねじ込み、同伴競技者からも拍手と歓声が送られるガッツパーでしのぐ。右ラフ、グリーン手前左ラフと渡り歩いた8番も、短いアプローチをピタリと寄せてのナイスパーセーブだった。「なかなか面白いゴルフでしたね」と言うほどのハラハラドキドキのラウンドだった。
 
この日の風は手ごわかったが、そこへの自信を深めている。「(欧州は)強風が多いので、風が止んでもいいような球筋のショットも、こっちでいろいろと身につけられた。林間でグリーンの後ろに木があると風の影響を受けづらかったり、そういう経験が今までよりも増えて、うまくできたかな」。

 日本以上に風は重たく、特に右からの風には手を焼いてきたという。日本では右に打ち出すドローボールで帳尻を合わせていたというが、それでは軽く流されてしまう。ティショットが少しつかまり過ぎた2番も、風を考慮し右ラフ付近を狙った一打が左バンカーにまで到達したほどだ。今までよりも風にぶつけたり、乗せたり。そういうコントロール術も欧州を生き抜く術になる。

そして何よりも、「難しい場面は必ずくる。よくあることだと切り替えて、あまりプレッシャーをかけずに楽しんでゴルフをしています」というメンタルコントロールも大事な要素として挙げる。こうして気持ちを保ち、タフなコース、そしてコンディションに挑んでいるのが今の星野だ。

あすはきょうと雰囲気がガラリと変わり、リンクスコースと対峙するとあって、またしても風との戦いも予想される。ただ「何ホールか長くて狭くてすぐOBとかがあるけど、アイアンでの低い球や球筋など調子がいい。いいマネジメントで攻めるところと守るところを気をつけながら」と、必要以上に恐れることはない。今週は2日目と3日目にカットラインがあることもしっかりと意識し、欧州仕込みの技で乗り切ってみせる。(文・間宮輝憲)

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