
2023年8月初旬、ウクライナへのF-16供与の可能性が強まるなかで、とある不安要素が米国の複数のメディアで報じられています。それは、パイロットの英語力が訓練を行えるレベルに達していないということです。
8人しか訓練可能なレベルになっていない!?
2023年8月初旬、ウクライナへのF-16供与の可能性が強まるなかで、とある不安要素が米国の複数のメディアで報じられています。それは、パイロットの英語力です。
米空軍は、ウクライナ人パイロットの英語能力は“懸念事項”であるとしているそうで、F-16の訓練を受けるには、初期幹部パイロットの大半へ、操縦訓練のほかに語学訓練を施す必要があるという見解になっています。 米国当局者がポリティコ紙に明かした内容によると、現在、英語が堪能な8名のパイロットが訓練を開始する準備ができているそうですが、ほかの20名に関しては8月中にイギリスで語学学習を行い、英語力の向上を図るそうです。なお、現在F-16の訓練に参加する可能性があると見られているパイロットは2個飛行隊分の32名とされていますが、ほとんどのパイロットが英語に不慣れで、そのことがネックになっているようです。
訓練期間は4~5か月程度と見られていたが…
バイデン政権は既に2023年6月の段階で、ウクライナ人パイロットをF-16で訓練することに関して支援を表明しており、イギリス、デンマーク、オランダ、ルーマニアなどの北大西洋条約機構(NATO)加盟国で8月中からの訓練が計画されています。 これまで空対空給油や計器着陸など、ウクライナの戦場で必要のないプログラムを除いた技術習得のみの訓練ならば、4~5か月程度で完了できると予想されていました。しかし、訓練教官とのコミュニケーションや、フライトシミュレーターや訓練マニュアルなどの機材や書類で機体の性能を理解するのには英語習得が必須のため、英語力向上を含めた期間になると、さらに伸びることが予想されます。 また、パイロットだけではなく、F-16を整備する後方支援要員などの育成にも、英語力が重要になってきます。米国はこの事態を受け、英語教師の派遣も検討しているそうです。 F-16は西側戦闘機の中でも、世界各国で採用されている部品供給の容易さと、対空対地戦闘の両方に使えるマルチロール機としての性能の高さが注目され、ロシアとの戦いにおけるゲームチェンジャーになることを期待されています。供与そのものは2024年に入って以降と予想されていますが、最終的に許可を出す製造国である米国は、具体的な話を現状では明らかにしていません。