アメリカ名物“UFO騒動”は意図的?「エリア51に銀の円盤が!」伝説を放置した当局の思惑

UFO問題は、アメリカではなぜか議会などを巻き込んで大規模に取り上げられることが多々あります。実はそれ、意図的で、新型機開発中の欺瞞作戦かもしれません。

2013年までエリア51の存在は公にはなっていなかった

 アメリカ下院で2023年7月26日、一般的には「UFO」と呼ばれる、未確認航空現象に関する公聴会が開かれました。元アメリカ軍幹部であるデビッド・グラーシュ氏が「数十年にわたるUFO墜落機の回収と解析計画を知らされた」と証言し、アメリカ軍が情報を隠蔽していると訴えたと報じられています。

 同国では、UFOやそれに乗ってきたと思われる地球外生命体、つまり宇宙人の話題が大真面目に論議されるときが定期的にあります。そのときよく話題にのぼるのが、ネバダ州にある「エリア51」と呼ばれるアメリカ空軍ネリス試験訓練場内の区域です。 実はここで開発されていた航空機がUFOに関係しているのではという話があります。とはいっても、宇宙人の技術を使った機体がテストされたとか、宇宙人が研究に関わっているというわけではなく、エリア51のこれまでの扱いが関係しています。 実は、エリア51に関しては2013年に情報公開請求に基づき、アメリカ中央情報局(CIA)が存在を認めるまで、公に存在していないことになっており、軍関係者でも一部の人々しか、その内部を知りませんでした。 同地は、1950年代にロッキード(現:ロッキード・マーチン)と、アメリカ空軍、CIA、NASAなどが共同で取り組んでいた、U-2偵察機をテストするために誕生しました。この機体が、同地でのUFO伝説の始まりともいえるかもしれません。

ありえない高高度で光る物体「これUFOじゃん!?」

 このU-2という機体は従来の偵察機にはない、全く新しいコンセプトで開発が進められていました。それは当時、対立関係にあったソビエト連邦の前線基地の配置だけではなく、領内奥深くにある核兵器の配置まで確認しようという、現在では戦略偵察と言われる任務を実現させようというものです。

 そのため、対空ミサイルや他の航空機の届かない超高高度から偵察飛行する方法が考え出され、同機が初飛行した1955年当時の航空機の基準ではありえないほど高高度である7万フィート(約2万1000m)を飛ぶ偵察機ができあがりました。 またテスト中のU-2は塗装を施さずアルミボディの銀色がむき出しの状態で、光をよく反射したそうです。「公には存在していない基地」「ありえない高高度を飛ぶ飛行物体」「やたら光を反射する銀色ボディ」、「軍関係者でも知らない人が多い計画」――これらの要素が混ざり合い、1955年7月にエリア51でU-2のテストが始まると、未確認飛行物体の報告が同地周辺で殺到。1947年のロズウェル事件から続く、アメリカのUFO熱に火がつき、たちまち同地はなにか重大なUFOに関する機密を隠す基地という扱いになってしまいました。 ちなみに、U-2のパイロットスーツは高高度を飛ぶため特殊な与圧スーツとなっており宇宙服のようなデザインです。しかも初期のタイプは全身緑系の色で、ウロコかと見間違う縫い目のデザインとなっており、これをなにかの拍子に見た人々が宇宙人と勘違いした説などもあるようです。

「UFOに違いない!」という人々に心理を逆手に取る

 その後も同地では、U-2撃墜事件を受け、マッハ3というU-2にはない高速を出し、対空ミサイルを振り切りながら情報収集する高高度偵察機として開発されたSR-71「ブラックバード」、世界初の本格的なステルス軍用機、 F-117「ナイトホーク」などのテストが行われました。

 これらの機体を担当したのはU-2と同じくロッキードの先進開発部門「スカンクワークス」でしたが、当然機体に関してはエリア51の施設内で作るわけにいかないので、ロッキードの施設で極秘裏に作ったものを、エリア51へ運ばなければいけません。 輸送は、完全秘匿された特注のコンテナに入れた状態でかなり厳重に行われそうですが、かなり大きいものであり、公道を走る以上、当然、人に目撃されないわけはありません。そうすると、「そうやって厳重に運んでいるのだからUFOに違いない!」と余計エリア51が宇宙人やUFOに関わる施設であるという噂が広まってしまいます。 そして、それらのテスト機体が飛ぶと今度は「あり得ない高速で高高度を飛ぶ飛行物体」、「目視はできるがレーダーに映らない謎の飛行物体」となり、さらに同地のUFO伝説に追加されるという形になります。 アメリカ軍やCIAもそうしたUFO報道で、新型機開発の話題を逸らすことができるならばと、意図的にUFOに関する疑惑を放置していたのではないかという説も、2013年の情報公開後にはあがっています。今回も、ひょっとすると新兵器開発の話題逸らしの可能性もあるかもしれません。しかし、それだけでは説明しきれないようなUFOや宇宙人に関する情報もあるのも事実です。 なお、エリア51に向かうネバダ州道375号線は「地球外生命体ハイウェイ」と改名されており、周辺は観光地化しているそうです。

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