<全英シニアオープン 最終日◇30日◇ロイヤル・ポースコールGC(ウェールズ)◇7003ヤード・パー71>
「残酷だよ。パッティングでバランスを保てない。濡れた手、濡れたグリップ。最後の2日間は本当に残酷だった。終わって本当にうれしいし、トロフィーを手にできて良かったよ」
今年の「全英シニア」を制したアレックス・チェイカ(ドイツ)は、そう語った。決勝ラウンドでは台風クラスの強風が吹き荒れて、近年まれに見る過酷な戦いとなった。週末にアンダーパーをマークした選手は『0』。往年の名選手たちが牙を剥いた難関リンクスで“コテンパン”にされた。
比較的気候が穏やかだった予選ラウンドでは、優勝したチェイカやビジェイ・シン(フィジー)、ポール・ブロードハースト(イングランド)ら7人がトータルアンダーパーだったが、第3ラウンドのたった18ホールで“全滅”。チェイカただひとりがトータルイーブンで3日目を終えて、ほかは全員がオーバーパーに叩き落とされた。
最終ラウンドが最も苛烈で、上位勢でさえ70台後半が並ぶ異常事態。2008年の「全米シニアプロ」(オークヒルCC)では優勝スコアが今大会を2打下回るトータル7オーバーだったが、決勝では3人がアンダーをマークした。それを踏まえると、決勝だけに限れば今回の全英がメジャー史上最もハードだったかもしれない。
象徴的だったのは、欧州ツアー通算31勝、海外シニアメジャー通算3勝を誇るコリン・モンゴメリー(スコットランド)だ。予選を8位タイの好位置で通過したにもかかわらず、最終日に『88』という惨憺(さんたん)たる結果に終わった。ただ、この88がワーストスコアではなかったというのだから驚きだ。
「このゴルフコースに来ると、ウェールズで過ごした素晴らしい思い出がよみがえってくる。ここは本当にいいコースだ」
開幕前にはそう語っていたモンゴメリーだが、72ホール目を終えたとき、その表情から輝きが失われていたことは言うまでもない。「最後に笑ってくれ」。そう言って会場をあとにした。
ちなみに、日本の藤田寛之はカットライン上の59位で予選を通過。決勝では「75」「77」と10コも落としたのだが、33位タイに浮上して大会を終えたことも付け加えておく。