山田裕貴「ペントレ」結末から感じた“可能性” 業界内で噂が立つ過酷現場での確固たる決意とは<「ペンディングトレイン」インタビュー前編>

【モデルプレス=2023/06/16】TBS系金曜ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」(毎週金曜よる10時~)で主演を務める俳優の山田裕貴(やまだ・ゆうき/32)。同日の第9話の放送で、残すは最終話のみとクライマックスに差しかかる中、モデルプレスら報道陣のリモートインタビューに応じた。前編では、同作への熱い想いから、自身の役とも重なる彼のパーソナルに迫る。

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◆山田裕貴主演「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」

山田にとってGP帯民放連続ドラマ初主演となる本作は【ペンディング】された【非日常】の世界へと放り出されてしまった「5号車」の乗客たちの非日常の生活を描く予測不能のヒューマンエンターテインメント。

山田演じるカリスマ美容師・萱島直哉は、仕事柄コミュニケーション能力は高いが、どこか捉えどころがなく、何を考えているか分からない危険な色気を持つキャラクターだ。

◆“過去一辛い現場”「ペンディングトレイン」は山田裕貴そのもの

― これまでの撮影期間を振り返って、直哉として約3ヶ月間過ごした中で感じたこと、学んだことを教えてください。

山田:僕の人生の少し前の人のような気がしていて、僕の中では振り返っているような感覚です。本当に“少し前の僕の感覚を持っている人”なので、こんなことを思っていたなと共感することが多いです。

全話好きですが、9話については赤楚(衛二)氏と「9話最高だね」と話していました。決して驕っていないですし、世界を変えられるとは思っていませんが、多くの人に観ていただける仕事をやっている以上、何か変わるんじゃないかという可能性は信じたいんです。そのメッセージ性を強く持っている作品だと思っていて、企画の段階からそういう作品にしたいと脚本の金子(ありさ)さんとお話していました。実際「あの玲奈(古川琴音)のセリフ僕が言っていた言葉だ」「これ僕が思っている想いだ」というものが沢山ありすぎて、この作品自体が僕なんじゃないかと錯覚してしまうくらい強い想いが詰まっています。

それは溜め込んだ想いではなく全てアウトプットしたい想いというか、もしこれが伝わらなかったら多分僕という人間が伝わらないのと一緒なのかもしれないと思うほどです。でも、その悔しさ、悲しさと色々な想いを吹き飛ばしてくれるのは、一緒にやっているキャストの皆さんやスタッフさんの頑張りなんです。スタッフさんもキャストの皆さんも「過去一辛い」と言っていて、業界内でも「『ペントレ』の現場がやばいらしい」と噂が回るくらい(笑)。でもそれは“やばい”のではなく“頑張っている”んです。“やれるだけやっている”んです!ここで体感した想いはここの皆にしか分からない、どれだけ語ったとしても伝わらない感情があると感じています。

◆山田裕貴、人のことばかりを気にしていた過去

― 直哉は“少し前の僕”とおっしゃっていましたが、そこから変わったきっかけは?

山田:誰に触れるか誰の感覚を知るのかで変わってくるような気がします。色々な出会いや考えを吸収していく中で、もっとシンプルで良くてもっと力を抜いて良いんだと感じました。きっと直哉は「母親がこうだった」「弟がこうだった」と人ばかり意識して生きていて、自分の自由を生きていなかったと思うんです。僕も同じで人のことしか気にしていなかったので、自分に意志がないというか「誰かがそうやって思ってくれるならそれで良い」という考え方だったのですが「もうわがままに生きよう」と決めました(笑)。僕が楽しくなければ楽しくないですし「正直に生きよう」と思い始めてから変わり始めた気がします。

◆絶対折れなかった「ペンディングトレイン」撮影現場で心がけていたこと

― 撮影現場で心がけていたことがあれば教えてください。

山田:とにかく細部に目を凝らすこと。「今の反応だと、伝わらないんじゃない?」など何かあれば(監督やプロデューサーに)伝えに行っています。それは自分も含め、もったいなくならないようにというか、一つ目線を動かすだけでも頷くだけでも、セリフの音も含めて1音違うだけで聞こえ方や受け取り方が変わるので、「芸術は細部に宿る」という言葉があるように、そういうところは気にしていました。

あと、普段は監督やプロデューサーさんに言われたら「分かりました」と自分を押し殺すこともありましたが、今回は絶対折れませんでした(笑)。これはあくまで、そういう日もあるかもしれないという意味での話ですが、「こういう風にした方が良いと思う」という意見を飲んで後悔した日々が沢山あるので、「やっぱりああしとけば良かった」と言ったら「あの人がああ言ったから」と思ってしまうことが嫌でしたし、人のせいにしたくなかったので折れないようにしていました。

― そういった経験はこれまでの作品の中でも初めてのような感覚?

山田:簡単に言ってしまえばそうですが、並々ならぬ皆さんへの信頼と「お芝居で見せつけなくてはいけない」という想いと色々なものが成り立っているからこそです。100作出演して100人演じてきて、今でも「あのシーンはこうした方が良かったかも」「やっぱりこうだったかも」と思う部分もいっぱいあるので、どの作品においても考えることを辞めたことはありません。

傲慢に言ってしまえばどの角度からも絶対に萱島直哉という人物を突き通せる自信があったので、そこは僕の集大成をここでぶつけるべきだと思いました。なので「山田くんのこんな演技観たことない」という声は少し違っていて、「観ていなかっただけだと思います」と言いたくなってしまうというか視聴者の皆さんとの闘いのようなものが僕の中にありました(笑)。もちろんそこには素敵な表情、セリフをくださる相手がいてこその話ですけどね。だからこそ、こうしたいみたいな気持ちも募りました。ただ、自分のエゴを突き通すのではなく、「優斗(赤楚)がそうしてくれるんだったら僕はこうしたいのでお願いします!」というあくまでもキャッチボールの中での話です。

◆山田裕貴、自然と泣きそうになったシーン

― 山田さんが演じていて一番熱くなったシーンや印象に残っている場面があれば教えてください。

山田:(悩みながら)全部に100%熱を注いでいて「全部一番になれ!」と思ってやっていたので難しいです。「これを言わせてほしいです」という僕の想いはいっぱいあって、その場でその日にセリフを変えていること、僕が本当に直哉として生きているから出てくる言葉が日々溢れているんです。なのでどこを変えたのか思い出せないぐらい色々なものが台本から変化しています。もし挙げるとしたら、企画の段階から言われていて伝えたかったことは9話にあるので、そこがどう視聴者の皆さんに伝わるのかなとは考えています。

僕は人間に対して諦めの感情を持った時期があって、僕がどれだけコミュニケーションを取ったり人のことを信じたいと思ったとしても相手の価値観や感覚が固くて、どんなに会話を凝らしても自分の想いが伝わらないことがこの人生の中で起こり苦しんだ時がありました。でも僕はそういう人も放っておきたくないし、それこそ、そこを無視していたら「じゃあ、あの人はいいや」とどんどん連鎖して国にボーダーが生まれて一つになれないと考えています。なので、“まずはその人の奥を見なきゃダメなんだよ”というメッセージが9話に込められています。僕もまだ観れていないので分からないですが、まさかそんなシーンになるとは思ってなくて自然と泣きそうになりました(笑)。僕の魂がそうさせたんだろうと思う部分があったので、その場面は推しです!

◆「ペンディングトレイン」を通じて伝えたかったこと

― この作品の全てが終わって山田さんが主演として振り返った時、どのようなことが頭に浮かんでくると思いますか?

山田:これは今も思っているのですが「僕は何ができたんだろう」というのが一番あるかもしれないです。多分、終わった瞬間に思うんだろうなと考えています。

― それは主演として?

山田:それもありますし、この作品においてもです。僕は「ペンディングトレイン」を観て、水もない、食料もないというところから、“今ある”という状況がどれだけ幸せなのかということを思い返してほしいと思っていたんです。ですが、それは気づく人しか気づけなくて、なんならこの作品を観てもらえていなかったら、僕らが「こう思っていてやっているんです」とどれだけ語ろうとも、なかったことと同じようなものじゃないですか?なので、僕はそういった願いや祈りみたいなものを、これから先お芝居に込めていこうと思ったんです。世界が平和になってほしいというテーマの作品があるならお芝居に祈りのように込めていこうというのは、1話の放送をリアルタイムで観終えた後にぱっと思いました。

ですが、それは結果終わった後に「僕には何ができているんだろう」という疑問にはなります。それが今一番僕の中で感じている自分への想いですし、皆さんに対してもそうです。「本当のところどうなんだろう?」と本当に直哉みたいになっているかもしれませんが、人に期待しないようになっています(笑)。この先、この作品が終わった後にどうなっていくのか分かりませんが、「僕に何ができたのか」ということはゆっくり考えると思います。

◆「ペンディングトレイン」結末は?

― 同作の結末について、山田さんご自身はどのように受け止めていらっしゃいますか?

山田:もしパラレルワールドがあったとするなら、この結末は「ペンディングトレイン」の最終話の一つの選択になったというだけで、選択肢を変えれば違う終わり方にもできたんです。なので、もう最終話まで完結して台本もできていますが、こっちに行ったらこの終わり方ができたんだなと色々な可能性を秘めた作品だと強く感じました。

★インタビュー後編では、バディ役となる赤楚との絆、共演者の印象的なシーンについてたっぷりと語ってもらった。(modelpress編集部)

◆山田裕貴(やまだ・ゆうき)プロフィール

1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年、テレビ朝日系「海賊戦隊ゴーカイジャー」で俳優デビュー。2022年、エランドール賞新人賞を受賞。主な出演作に「HiGH&LOW」シリーズ(16~19)、「あゝ、荒野 前篇・後篇」(17)、「あの頃、君を追いかけた」(18)、「燃えよ剣」(21)、「余命10年」(22)、「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」(22)、「耳をすませば」(22)、「夜、鳥たちが啼く」(22)、「ブラックナイトパレード」(22)など。現在、NHK大河ドラマ「どうする家康」(総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BSプレミアム・BS4K、毎週日曜午後6時~/BS4K、毎週日曜午後0時15分~)に出演しているほか、6月30日には映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-」(前編:-運命-/4月21日より公開中)が公開される。

◆「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」第9話あらすじ

再びワームホールを出現させ、なんとか過去へ戻ることに成功した乗客たち。しかしたどり着いたのは元いた2023年ではなく、地球環境が激変する半年ほど前の2026年5月の東京だった。

元いた世界から3年後ではあるものの家族との再会を喜ぶ優斗(赤楚衛二)や紗枝(上白石萌歌)たち、成長した我が子を抱きしめる佳代子(松雪泰子)。皆が思い思いに過去へ戻った実感を味わう中、直哉(山田裕貴)もまた、気にかけていた弟・達哉(池田優斗)との再会を果たす。

やがて元の生活へと戻り、未来で見てきたこと、まもなく地球に起こる出来事について必死に訴える乗客たち。しかし警察や政府は彼らの証言を本気にしないばかりか、植村(ウエンツ瑛士)らの勝手な行動もあり、乗客たちは周囲からの好奇の目に晒されてしまう。ただ、加藤(井之脇海)が未来から持ち帰った隕石を手にした蓮見(間宮祥太朗)だけは、何かに気づき…。

そんな折、直哉の体にはある重大な異変が起こっていて…。

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