「うちの戦車をウクライナへ」 独ラインメタルとウ国営企業が協定 KF-51パンター普及へのしたたか戦略?

ドイツの軍需企業であるラインメタルがウクライナの国営企業と協定。将来的には車両の開発も目指しています。同社の主力戦車「パンター」を普及させる布石とも見られ、そこにはしたたかな戦略性も感じられます。

CEOがパンターをウクライナに輸出したいと発言したことも

 ドイツの軍需企業であるラインメタルは、現地時間の2023年5月13日、ウクライナ国営企業のウクロボロンプロムと戦略的協力協定を結んだと発表しました。

 この協定に基づき、まずラインメタルとウクロボロンプロムは合弁会社を設立し、ウクライナの国有防衛部門との橋渡しを図り、包括的な技術移転のほか、ドイツからの軍事装備品の短期提供などを実施します。ラインメタルとしては2023年6月末の契約締結を目指し、2023年7月中旬には合弁会社を稼働する予定です。 当面は、「レオパルト2」など、ウクライナ国内に供給されているドイツ製軍用車両の修理を行う目的のようですが、「その後の段階では、包括的な技術移転に基づいて、協力パートナー(ウクロボロンプロム)はラインメタル製品をウクライナで共同生産する」と資料にあり、将来的には「共同チームによる軍事システムの開発を目指す」とも明記しています。 現在ラインメタルは新主力戦車KF-51「パンター」を開発中です。2023年2月には、ラインメタルのCEOであるアーミン・パッパーガー氏が「パンターの輸出についてウクライナと協議している」と発言したこともあり、パンターを普及させるための布石とも考えられます。 ラインメタルは、2022年6月にフランスで開催された「ユーロサトリ2022」で、「パンター」を公開。このことが原因で、同じくドイツ国内の軍需企業であるKMWに抜け駆けだと批判されました。ラインメタルは、フランスのネクスターとKMWが合併してできたKNDSを中心に進められていた次期主力戦車メイン・グランド・コンバット・システム(MGCS)に、130mm滑腔砲を提供する方向で話を進めていたからです。 砲身を提供するとはいえ、ラインメタルはMGCSの開発において主体ではないため、今回のウクライナ国営企業との協力関係構築は、MGCSが欧州の戦車市場を独占するのをけん制するための行動とも考えられます。

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