運不運は紙一重、誰にでも同じように起きる! アンラッキーを楽しもう【ゴルフが整う自律神経のトリセツ】

ゴルフには運不運がつきものです。2021年「マスターズ」優勝を果たした松山英樹選手にも、あの試合中ラッキーが随所にあったのは、誰もが記憶しているのではないでしょうか。
■松山英樹は運不運に反応しなかった
 
思い出してください。例えば、最終日の5番ホールで強すぎるように思われたパットが入ったり、13番ホールでは林へ飛んだティショットが木に当たっていいところへ出てきたりもしました。もしボールが反対に跳ねていたら優勝争いは混沌としたかもしれません。
 
ミスショットをした打球が、ちょっとした偶然によっていい結果に収まることは誰にでも起こります。しかし、特にメジャートーナメントでは自律神経のバランスがいい選手ほどラッキーに恵まれやすく思えるから不思議です。
 
というのも、自分のリズムでプレーができている選手は運不運にいちいち反応しません。ラッキーに軽く笑みを見せるくらいです。文字どおりボールがどちらに転がっても、集中力を保ったまま次のショットを成功させてしまうのです。偶然をさらにいい結果へつなげることでラッキーをより生かすことができます。
 
技術はともかく、アマチュアにとっても運不運は紙一重です。偶然の結果に一喜一憂せず、集中を切らさないよう落ち着いて次のショットを打つことが大事なのではないでしょうか。
 
■「あーあ」と嘆くのはNG
 
とはいえ、ラッキーはまだしもアンラッキーに見舞われたときはどうしても心が波立ちます。うまく打ったのにイレギュラーな跳ね方をして林に入ったときなどは本当にショックです。
 
こういうケースでは、原因を探したり打ち方を反省したりしても解決にはなりません。「どうして?」とか「どうしよう?」とか思うのではなく、次のリカバリーショットへ淡々と気持ちを切り替えるのが得策です。
 
たとえボールのライが悪くても「あ~あ」はNG。口に出すのも、思うのもいけません。「ライが悪いからどうせダメだ」と悲観的になることで交感神経が高まり、手が動かなくなってしまうからです。
 
その場から逃げ出したくて、いいかげんに打ってしまうこともあります。不運な場面には、リカバリーショットを楽しむ気持ちで臨みましょう。打球の高さと落としどころを決め、クラブ選択、グリップ、アドレス、そして素振り。一つ一つを丁寧に確認してショットに全力を尽くすのです。
 
焦らずリラックスすれば副交感神経が高まって、手もスムーズに動きます。目的どおりのボールを打てたときのうれしさや達成感は、なんともいえないものです。
 
このように小さな成功体験を積むとリカバリーショットが楽しくなります。運不運にも一喜一憂しなくなって、よりラッキーに恵まれるでしょう。(文・小林弘幸 構成・野上雅子)
 
●小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1960年生まれ、埼玉県出身。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティストのパフォーマンス向上指導にかかわる。自律神経のバランスを意識的にコントロールすることにより心身の潜在能力を最大限発揮できることを提案し、テレビ番組等で解説している。著書も多数あり、2022年12月『ゴルフが上達する自律神経72の整え方』(法研)を刊行。

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