「通さんぞ」東京の道を狭める“極太ポール”がなくなる日 無数の擦り跡…実はもう実質不要?

車道上にわざとポールや縁石を設けて物理的に走路を狭めている道路、そうするには理由があります。中には、かなり存在感のある障害物で、無数の擦り跡が“戦い”の跡を物語っているものもありますが、こうした障害物がなくなることはあるのでしょうか。

極太ポールが狭める道路 なぜ?

 車道上にわざとポールや縁石が設けられ、物理的に走路が狭められている道路があります。なかにはかなり存在感のある障害物に無数の擦り跡が見られ、歴戦の跡を物語っているケースも。  東京都内でそうした道路のひとつに、狛江市内の「水道道路」があります。

 この水道道路は、世田谷区内の野川に架かる天神森橋から、狛江市内の世田谷通り(和泉多摩川駅付近)まで続く約3km。その世田谷通りと接続する箇所に、大人の腰の高さくらいまである太いポール(ボラード)が3本立っており、道路を狭めています。黄色と黒の警告色で塗られていますが、特に車道側には無数の擦り跡が。実際に世田谷通りから曲がって水道道路に入ると、突如としてボラードが現れ、慎重な運転を強いられます。 この場所には車幅制限を示す標識はありませんが、東京都水道局が立てた看板が立っており、「水道本管保護のため積載重量四t以上の通行を禁じます」とあります。逆に世田谷側の入口は、ボラードなどの障害物こそないものの、重量制限4.0t、車幅制限2.2mを示す標識がともに立っています。 つまり狛江側のボラードは、4t以上の貨物車を進入させないための物理的な“ゲート”というわけです。水道管が埋まっている道路で、その保護を目的に一定以上のクルマの通行を制限するためポールなどが設置されている例は、他にも多く存在しますが、狛江のボラードは都内では“極太”でしょう。 ただ、この水道道路の狛江市側は2021年から拡幅事業がスタートしています。幅8mの現道を16mまで拡げ、1m未満しかない歩道の幅も3.5mまで拡幅、さらに自転車走行空間も整備する計画です。当然ながら大型車の通行も想定しています。 事業を担当する東京都北多摩南部建設事務所によると、すでに「埋設水道管は耐震工事がなされており、4tの制限は実質なくなっていると(水道局より)聞いている」とのこと。では、なぜボラードが残っているのでしょうか。

極太ポール 撤去したいけど「まだ…」?その理由は

 この狛江のボラードについて、拡幅事業に際しての住民説明会では、「ボラードはいつ撤去される予定か?」「ボラードを外し大型バスが通れるようにしてほしい」との要望も寄せられています。なお、この水道道路は全線を通じて路線バスが走行しますが、車体の制限のため小型バスで運行されています。 4tの制限は実質的に不要となってはいますが、「世田谷区側はいまも4tの積載制限に加え大型車の交通規制も継続しています。このため、(狛江側の)ボラードを外して大型車を通行させたとしても、現行の幅員では危険なうえ、世田谷区側への通り抜けができなくなってしまいます」(北多摩南部建設事務所)とのこと。 北多摩南部建設事務所は「ボラードの取り扱いについては、交通管理者(警察)や市などとも協議していく」としているものの、水道道路の拡幅は、世田谷区側が事業化されていないこともあり、ボラードは当面そのままの見通しのようです。

 ただ現在、狛江市の施工で、東西方向の水道道路に交わる南北方向の道路整備が計画されています(調布都市計画道路3・4・16号線)。この事業が進捗し、大型車の通り抜けが可能な道路ネットワークが整備できれば、ボラードも撤去できるだろうとのことでしたが、その実現はまだまだ先の話になる模様です。

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