パンク状態の「JR嵯峨野線」連日話題に 「乗れない」「地獄絵図」その根本理由とは?

京都駅を発着し、嵐山方面へ向かうJR嵯峨野線。最近になって平日・土休日問わず「超満員」状態が続き、ホームに人があふれ乗車もできない事態も。なぜこのような状況になったのでしょうか。

減便したままのダイヤで観光客輸送に対応

 コロナ禍による行動制限が緩和され、国内外多くの観光客が戻ってきた京都。そのような中、市内を走るJR嵯峨野線の混雑が話題となりました。SNS上では「地獄絵図」「真昼なのに通勤ラッシュ並み」「乗れない」との声が多数で、毎週末のようにトレンドワードに「嵯峨野線」が上がっています。なぜこうなってしまったのでしょうか。

 JR嵯峨野線(山陰本線)は京都駅を発着し、市街北西部から亀岡・園部方面へ抜けていく路線。沿線に人気の観光地・嵐山などがあることから観光需要も高く、混雑しがちな路線です。 しかしコロナ禍により利用者は一気に減少。たとえば、嵐山の玄関口・嵯峨嵐山駅の1日平均利用者数は、2019年に1万6850人を記録したのが、2020年には1万人以下まで急速に落ち込みました。 利用者減少を受け、2022年3月のダイヤ改正で嵯峨野線の日中の運行間隔は「15分~20分に1本」へ減便。列車も基本的に4両編成での運行となりました。 その後、徐々に人流制限が緩和され京都の観光客数も増加します。日本国内はもちろん、2022年10月からは入国制限が見直され外国人観光客も順調に増えてきました。嵯峨嵐山駅でもコロナ禍前に迫るのではないかと感じるほどの賑わいが戻ってきています。 一方、嵯峨野線のダイヤには大きな変化がないままです。2023年3月のダイヤ改正でも増便されず、利用者数の増加に対しては、繁忙期の一部時間帯で増発や増結で対応しているのが現状です。

混雑しやすい形状の嵯峨野線ホーム

 もうひとつ、JR京都駅の嵯峨野線ホームの構造も混雑の要因のひとつに挙げられるでしょう。

 嵯峨野線のホームは京都線・琵琶湖線ホームから大きく離れたほぼ西端にあり、そこだけ頭端式の構造をしています。ホームの西側には改札や通路がなく、列車から降りたら東に歩くしかありません。 そこに列車に乗る人の流れがぶつかり互いに前に進みづらくなるため、とくに列車の到着した直後のホーム周辺は非常に混み合います。 また、利用者、中でも大きな荷物を持つ観光客はあまりホームの奥まで歩かず、手前の車両に乗る傾向があります。そのため、手前の車両は混雑しているけれども奥の車両にはまだまだ余裕があることも珍しくありません。 さらには、使用されている車両が221系と223系という、一部例外をのぞき2+2列座席の「クロスシート車」であることも、車内混雑に拍車をかけています。通勤電車に採用される横向き7人掛けの「ロングシート車」と比べると、人の群れを圧縮できる通路スペースが小さくなるため、いざという時の大量輸送に弾力性がないデメリットがあります。 GWという行楽シーズン最盛期を前に、嵯峨野線では4月29日から5月7日まで嵯峨嵐山方面への臨時列車を3本運転する予定としています。しかし、コロナ禍中のままのダイヤと、駅構造や車両など、抱える課題はまだ多そうです。

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