第346話 世界を席巻する「チャットGPT」 チャットボットの急速な市場拡大に期待

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、コーヒーの香りが心地よい都内の喫茶店で投資談義を行っています。


T:報道によると4月10日、米国の企業オープンAI社のサム・アルトマンCEOが来日し、岸田首相と面会したとのことです。オープンAIと言えば、対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」が世界的に話題となっていますね。

神様:2022年11月、イーロン・マスク氏の創業によるオープンAI社がチャットGPTを公開しました。これは、人工知能(AI)を活用したチャットボットです。チャットボットとは、インターネットを介しリアルタイムで会話のような受け答えができるアプリケーションです。チャットGPTは、私たちがスマホやパソコンで様々な質問をすると、AIを介してまるで人間のように自然な会話で回答する仕組みになっています。

T:米マイクロソフトが検索にチャットGPTを用いたチャット(会話)型AI検索を実装しましたし、それに対抗するように米グーグルも会話型AIを実装する動きが見られます。検索窓に単語を入力して必要な情報が掲載されているウェブページを探すという、これまでの検索のあり方を大きく変えるような出来事になっていると感じます。

神様:Tさんは、チャットGPTを使ってみましたか?

T:はい。私も使ってみましたが、本当に人間と会話しているようで驚きました。今後どのような分野で活用されるとお考えですか?

神様:そうですね。企業での問い合わせ業務などでの導入は最適かと思います。

T:問い合わせ業務ですか?もっと、より創造的な仕事に活用されるのかと思いました。

神様:将来的には様々な可能性が考えられますが、まだまだ発展途上であると思います。例えば、チャットGPTはインターネット上のあらゆる情報を学習しますが、個人情報の保護や著作権といった課題をどうするかが今議論されています。

T:欧州などではチャットGPTの利用について規制が検討されていますね。

神様:それから、精度の問題もあるでしょう。確かにチャットGPTは人間らしい会話をしますが、AIは学習していない情報については間違っている内容を伝える可能性があります。信頼できる情報を十分に学習させることが大切なのです。

T:なるほど。インターネット上の情報が玉石混交であるのと同じように、チャットGPTが伝えることを鵜呑みにしては危険だということですね。

神様:AIの回答の真偽を最終的に判断するのは人間です。一方で、特定の専門的な知識を十分に学習させれば、チャットボットの活用は非常に有効であると考えます。例えば、社外向けの問い合わせサービスです。FAQはよくある質問とその答えのセットを大量に集めて整理し、ユーザーの疑問を解決します。チャットボットはユーザーとの会話を進めながら、疑問の解決や申込みなどの手続きへと導くシステムとして活用されます。多くのチャットボット導入企業ではチャットボットへの満足度について高い結果が出ています。グローバルインフォメーションによると、チャットボット市場は年率21.5%の成長を続け、2028年には137.7億ドルへ達すると予想されています。

T:チャットGPTの活用により、今後はチャットボットがさらにパワーアップするわけですね。

神様:おっしゃる通りです。すでに日本の企業でもチャットGPTを活用した取り組みが行われていますので、調べてみると面白いでしょう。チャットボットの応用範囲は広く、顧客に向けたサービスの深化や多様化にとどまらず、導入社内の業務効率化にもつながります。今後さらに研究・開発が進み、チャットボットを提供するベンダーとそれを活用する企業のビジネス機会の拡大に期待したいところです。

T:今後の動向を注視したいと思います。

(この項終わり。次回4/26掲載予定)

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