第344話 「脱マスク」解禁で化粧品業界に“美ジネスチャンス”到来

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェで投資談義を行っています。


神様:コロナ禍からの脱却もいよいよ本格的になってきました。政府は3月13日から、マスクの着用について屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねることとしています。Tさんは、3月13日以降、マスクの着用の仕方は変わりましたか?

T:いいえ、正直に言いますとあまり変わっていません。まだまだマスクを着けているときの方が多いです。外出時も人の少ない所を歩くときはマスクを外すくらいで、それ以外では着けていることが多いです。

神様:それはどうしてですか?

T:いまだに新型コロナの感染者数はある程度いるので、油断して感染することを避けるためです。周りの人たちの様子を見ながら、もう少しマスクを着けていたいというのが本音です。

神様:なるほど。でも海外ではマスクを着けている人はもうほとんどいないようですよ。

T:そうなんですよね。ただ、日本ではコロナ禍になる前からマスクを着けていた人も多いですし、海外に比べて普段からマスクを着けることに抵抗がないのでしょうね。国民性でしょうか。

神様:そうですか。他方、経済界では、着実に「脱マスク」に向かっているようです。最近は全国の百貨店の化粧品売り場やドラッグストアの販売現場など、マスクを外して営業を行っているお店が増えていることを知っていますか?

T:いえ、知りませんでした。なるほど、マスクを外した時の顔の印象と言いますか、要するにメイクを考えてのことですね?

神様:その通りです。化粧品各社において、新製品の投入やマーケティングへの支出を増やすなどの動きが見られます。

T:一部で「マスク美人」という言葉が生まれたように、マスク姿に慣れると逆に素顔を見せることに抵抗を感じる人もいると聞きます。マスク脱却に向けてメイクアップでしっかり準備することも大切ですよね。そう考えれば化粧品業界にとってはチャンス到来ですね。

神様:国内の化粧品市場を見ると、2020年度はコロナ禍の緊急事態宣言発出を背景に大きく落ち込みました。その後は緩やかな回復傾向をたどっています。経済活動の正常化が進んだ2022年度後半以降では、コロナ禍の鎮静化も進み化粧品市場の回復が一段と進むと見られています。そしてこの「脱マスク」解禁です。化粧品各企業にとってはこの機会を逃すのはもったいないですね。

T:今がちょうど消費者の行動が変化するときですからね。

神様:化粧品市場について、製品カテゴリー別に構成比率を見ると、2021年度ではスキンケア市場が47.8%とトップでした。メイクアップ市場は17.0%で在宅時間が多いほど化粧をする機会は減りました。一方で、肌の調子を整える需要は高まったと見られています。脱マスクによるメイクアップ需要の回復が、今後の化粧品市場の活性化を促すと期待されています。

T:まさに、”美ジネスチャンス”というわけですね。

神様:はい。さらに今後は、訪日外国人観光客の回復が見込まれています。日本の高品質な化粧品はアジアを中心に海外でも高いニーズがあります。インバウンド需要の拡大も、国内化粧品販売の追い風になると見られます。化粧品業界の動向に注目しましょう。

T:春は心機一転の機会です。今年の春は特に、心身ともに一新したいところですね。

(この項終わり。次回4/12掲載予定)

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